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 平成20年版 犯罪白書 第4編/第2章/第6節/2 

2 少年の保護観察対象者に対する処遇

(1)分類処遇制度
 平成19年12月31日現在,分類処遇制度によるA分類率(対象者全員に占める処遇困難と予測された者の比率をいう。第2編第5章第2節2(3)参照)は,保護観察処分少年が4.3%,少年院仮退院者が18.9%である。少年院仮退院者には,処遇上の問題を有する者が多いことがうかがわれる(法務省保護局の資料による。)。なお,更生保護法の施行により,20年6月1日以降に保護観察を開始した保護観察事件については,分類処遇制度に代わって段階別処遇による体系的な保護観察が実施されることになった(第2編第5章第2節2(4)参照)。
(2)類型別処遇制度
 平成19年12月31日現在,保護観察処分少年及び少年院仮退院者の類型認定状況(対象者をその特徴的な問題性等によって類型化した状況をいう。第2編第5章第2節2(5)参照)は,4-2-6-6表のとおりである。

4-2-6-6表 少年の保護観察対象者の類型認定状況

(3)社会参加活動
 保護観察処遇では,福祉施設における介護・奉仕活動,公園清掃等の環境美化活動,陶芸教室・料理教室等の体験学習,農作業,スポーツ活動,レクリエーション活動等に対象者を参加させ,対象者の社会性を育み,社会適応能力を向上させることに努めている。
 平成19年度における社会参加活動の実施回数は414回,実施場所数は322か所,対象者参加人数は1,498人(保護者233人を含む。)であった。実施回数が多かった活動は,「高齢者等に対する介護・奉仕活動への参加」(実施回数117回),「創作・体験活動・各種講習等への参加」(同98回),「清掃・環境美化活動への参加」(同98回)であった(法務省保護局の資料による。)。
(4)保護観察における指導を一層効果的にするための措置
 平成19年6月1日に公布され,同年11月1日から施行された少年法等の一部を改正する法律(平成19年法律第68号)により,保護観察所の長は保護観察処分少年に対し,保護観察における指導を一層効果的にするための措置として,遵守事項を守らない少年に対し,これを守るよう警告を発する手続と,警告を受けた少年が,なお遵守事項を守らず,その程度が重く,保護観察の継続によっては本人の改善更生を図ることができないと認められるときに家庭裁判所は少年院送致等の保護処分を言い渡すことができる制度が導入された。また,同法律により未成年の保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護者に対し,少年の監護に関する責任を自覚させ,その改善更生に資するため,保護観察所の長は指導・助言等の措置を採ることができることとされた(この他の施策については,第2編第5章第2節2(1),(3),(5)及び(7)を参照。)。