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 平成20年版 犯罪白書 第3編/第3章/第3節/4 

4 保護観察

 保護観察新規受理人員に占める薬物犯罪者(麻薬取締法,覚せい剤取締法及び毒劇法の各違反の罪を犯した者をいう。)の比率の推移(最近20年間)は,3-3-3-4図のとおりである。
 仮釈放者では平成11年以降,保護観察付執行猶予者では13年以降,いずれも低下傾向を示している。
 保護観察の類型別処遇制度(第2編第5章第2節2(5)参照)においては,「覚せい剤事犯対象者」及び「シンナー等乱用対象者」の類型を設け,保護観察対象者に対する集団処遇や,その保護者や引受人に対して講習会を実施するなどし,平成16年4月からは,覚せい剤事犯の仮釈放者及び保護観察付執行猶予者に対し,その者の自発的意思に基づく簡易尿検査(平成20年4月からは「簡易薬物検出検査」と名称を変更した。)を活用した処遇も実施している。19年の同検査の実施対象者数は3,644人,実施回数は8,616回であった(法務省保護局の資料による。)。
 また,更生保護法によって,覚せい剤の自己使用の罪に当たる犯罪事実があるなど一定の条件を満たした保護観察対象者については,特別遵守事項によって,「覚せい剤事犯者処遇プログラム」の受講が義務付けられることになった(第2編第5章第2節2(2)参照)。このプログラムは,覚せい剤の使用をやめようとするその者の意志を強化し,これを持続させることを目的として実施する簡易薬物検出検査と,再発防止の具体的方法を習得させることを主な目的とする教育課程により構成された専門的処遇を内容としており,プログラムの実施期間中,教育課程に並行して,簡易薬物検出検査の実施が義務付けられている。

3-3-3-4図 保護観察新規受理人員に占める薬物犯罪者の比率の推移