前の項目 次の項目 目次 図表目次 年版選択 | |
|
7-3-2-1図は,100万人初犯者・再犯者混合犯歴を対象として総犯歴数別の人員及び犯歴の件数の構成比を示したものである。
7-3-2-1図 総犯歴数別人員・犯歴の件数構成比 総犯歴数別の人員構成比では,初犯者が71.1%を占めているのに対して,再犯者は,28.9%にとどまっている。ところが,総犯歴数別の犯歴の件数構成比を見ると,初犯者による犯歴の件数は42.3%にとどまるのに対して,再犯者による犯歴の件数は57.7%を占めている。このことは,約30%の再犯者によって,過半数である約60%の犯罪が行われているという事実を示しており,ここに,刑事政策として再犯者対策が重要であることの根拠がある。また,多数回の犯歴を持つ者ほど,犯歴の件数全体の増加要因となっており,特に,10犯以上の犯歴を持つ者(以下,本章において「多数回再犯者」という。)は,100万人のうちの8,398人(0.8%)にすぎないが,この者たちによる犯歴の件数は10万8,201件(6.4%)となっている。これは,ごく少数の者によって多数の犯罪が引き起こされていることを示している。同じ傾向は,欧米の実証研究でも確認されており(例えば,英国では,2001年の調査によれば,0.5%の多数回再犯者が,9%の事件を引き起こしているとされている。英国内務省資料による。),それを基に,多数回の犯歴を持つ者に対する対策が採られている。 ところで,どのような多数回再犯者であっても,再犯は,2犯目を犯すことに始まることから,再犯防止対策としては,まずこの点に着目することが重要である。それゆえ,本章では,まず,1犯目から2犯目に至る過程について,多様な角度から分析を加え,初犯者が2犯目に至るのを防止する対策について検討する(第4節1・2・5参照)。また,それと併せて,総犯歴数が3犯以上となるような再犯者については,より一層その問題性に応じた対策が必要と考えられることから,その特徴等について分析を行うこととした(第4節2・5参照)。 次に,再犯者対策が重要となる主な犯罪は何かを探るため,100万人初犯者・再犯者混合犯歴の罪名別・犯歴の件数構成比を,犯歴回数別に見たのが7-3-2-2図である。 7-3-2-2図 犯歴回数別・罪名別犯歴の件数構成比 何犯目であっても,高い比率を占める罪名は,傷害,窃盗,暴行及び覚せい剤取締法違反であり,特に,3犯目以降は,すべて,多い方から窃盗,傷害,覚せい剤取締法違反の順となっている。そこで,本章においては,特に,量的に多いこれらの犯罪を中心に再犯者の実態を見ることとする(第4節1〜4参照)。 |