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2 各種犯罪者別の動向 ここでは,属性ごとに見た各種犯罪者の動向を分析する。
(1) 女性犯罪 一般刑法犯の男女別検挙人員の推移は,6-2-2-4図のとおりである。
6-2-2-4図 一般刑法犯の男女別検挙人員の推移 各期において,女子が増加傾向にある。最近は,一般刑法犯検挙人員の約20%を女子が占めるようになっており,女子の検挙人員の増加が,検挙人員全体を若干底上げする方向に影響を与えていることがうかがわれる。ただし,近年,女子による特異な凶悪犯罪が散見されるものの,罪名別に見ると,女子では窃盗が最も多く,女子の一般刑法犯検挙人員の約70%を占めており,その中でも万引きが多い(第1編第1章第1節2参照)。犯罪の中核部分のほとんどは依然として男子によって行われているという状況に大きな変化はないといえよう。(2) 少年非行 一般刑法犯の成人・少年別検挙人員の推移は,6-2-2-5図のとおりである。
6-2-2-5図 一般刑法犯の成人・少年別検挙人員の推移 第I期の一般刑法犯検挙人員の山(昭和59年がピーク)は,主に少年の検挙人員の増加によるものである。この期における少年の罪名としては窃盗,特に万引きが多く,年齢層別人口比では年少少年が多かった(第4編第1章第1節2参照)。一般刑法犯検挙人員の推移を見ると,平成元年から3年にかけて,少年が成人を上回ったが,その後は成人の方が多い状況が続いている。第II期に入ると,少年は平成10年にいったんピークを形成したものの,その後はほぼ横ばいである。これに対し,成人は,第II期中期から増加し始め,第III期には急増している。第III期における一般刑法犯検挙人員の急増は,少年の増加ではなく,成人の増加によるものである。しかし,平成17年版犯罪白書が指摘したように,最近の少年非行は,厳しい犯罪情勢と相まって,国民の不安を増大させる原因の一つとなっている。少年非行をいかに未然に防止するか,家庭の在り方も含め,次代を担う少年を社会全体としていかに健全に育成するかは,我が国において極めて重要な課題である。 (3) 外国人犯罪 一般刑法犯(道路上の交通事故に係る危険運転致死傷を除く。以下,本項において同じ。)の国籍別検挙人員の推移は,6-2-2-6図のとおりである。
6-2-2-6図 一般刑法犯の国籍別検挙人員の推移 外国人による一般刑法犯の検挙人員は,平成11年以降増加しており,17年には過去最多となった(第3編第1章第2節1参照)。同年における一般刑法犯検挙人員総数に占める外国人の比率は3.8%であり,外国人の検挙人員の増減は,検挙人員全体の増減に大きな影響を与えてはいない。しかし,来日外国人による薬物犯罪や手荒でかつ組織的な窃盗あるいは強盗の増加は,国民の犯罪に対する不安や警戒心を急速に高めたことがうかがわれる。近年は,暴力団と結び付いた凶悪事件も相次いでいる。さらに,刑事政策面においても,日本人と異なる対策や処遇を必要とする外国人の増加は,「来日外国人問題」ともいうべき,様々な課題を生じてきており,その増減が刑事司法機関に与えている影響は決して小さくはないといえよう。 (4) 再犯者 一般刑法犯の再犯者(前に刑法犯又は特別法犯(道路交通法違反を除く。)により検挙されたことがある者をいう。以下,本節において同じ。)等の検挙人員の推移は,6-2-2-7図のとおりである。
6-2-2-7図 一般刑法犯の初犯・再犯別検挙人員の推移 一般刑法犯検挙人員の第I期のピークであった昭和59年に,再犯者も最多となり,その後も検挙人員総数とほぼ同様に推移していた。しかし,近年は,再犯者が増加するとともに,再犯者率(一般刑法犯検挙人員に占める再犯者の人員の比率をいう。)が上昇傾向にある(第3編第5章第1節1参照)。一般刑法犯の就労状況別検挙人員の推移は,6-2-2-8図のとおりである。 6-2-2-8図 一般刑法犯の就労状況別検挙人員の推移 平成14年から無職者が有職者を上回るようになっている。無職者が有職者より保護観察終了時の取消しの比率が高いこと(第2編第5章第2節4参照)がうかがわれるほか,検挙人員中に占める無職者も増加していることから,その再犯防止のための就労支援対策等,処遇の充実・強化が求められるようになった。 |