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3 窃盗を除く一般刑法犯の推移 窃盗を除く一般刑法犯の認知件数の増減は,第I期及び第II期においては,一般刑法犯の認知件数全体の動きに大きな影響は与えていなかった。しかし,窃盗を除く一般刑法犯の一般刑法犯全体に占める比率は,昭和48年18.2%,平成7年11.9%,14年16.7%,17年24.0%と,第III期に入ってから上昇傾向にあり,その増減が一般刑法犯全体の動きに及ぼす影響が大きくなってきている。
窃盗を除く一般刑法犯の主要罪名等別認知件数の推移は,6-2-1-5図のとおりである。 6-2-1-5図 窃盗を除く一般刑法犯の主要罪名等別認知件数の推移 第I期においては,遺失物等横領及び器物損壊が増加傾向を示していたが,粗暴犯(傷害,暴行,脅迫,恐喝,凶器準備集合及び暴力行為等処罰法違反をいう。以下同じ。)及び詐欺は減少傾向にあり,全体的にはおおむね横ばいで推移していた。しかし,第II期後半には,多くの犯罪が増加し始めた。粗暴犯の中では,傷害及び暴行が平成12年以降増加している。また,器物損壊も同年以降急増し,7年の3万1,231件から14年の19万6,018件へと約6.3倍になった。このことから,器物損壊が第II期に急増し,窃盗を除く一般刑法犯の認知件数を押し上げたことが分かる。これらに加え,遺失物等横領,詐欺,住居侵入等が第III期に入っても増加している。第II期における窃盗を除く一般刑法犯の急増の主要因となったのが器物損壊であることから,その実態について更に検討する。平成17年における器物損壊の内容別構成比は,6-2-1-6図のとおりである。 6-2-1-6図 器物損壊の内容別構成比 被害器物等の半数以上を車両が占め,発生場所も駐車(輪)場と道路上の合計が約50%となっている。窃盗において,第II期に車上ねらいが急増しており,第II期における一般刑法犯の急増は,車を対象とした犯罪が中心であったことがうかがわれる。第III期に入って,これら車を対象とした犯罪は,諸対策の強化によって減少の兆しを見せているが,それ以外の犯罪は,依然として高水準のものが多い。特に,暴行及び詐欺は,平成17年も増加しており(第1編第1章第1節1参照),犯罪情勢全般が回復したとは言い難い状況が続いている。 さらに,近年における注目すべき現象としては,高度情報化社会の出現等によって,携帯電話,インターネット等を悪用した新たな犯罪類型が次々と現れていることを挙げることができる。振り込め詐欺はもとより,パソコンを利用した通貨偽造事件やインターネットを利用した詐欺事件が近時急増している(第1編第1章第2節及び同第3章第3節参照)。また,コンビニ強盗,路上強盗,金融機関における強盗等,模倣性の高い犯罪が,短期間で,しかも全国規模で急増するといった現象も見られる。 このような次々と現れる新たな犯罪を予防するため,迅速で効果的な対策が強く求められている。 |