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 平成12年版 犯罪白書 第7編/第7章/4 

4 暴力団関係受刑者の意識等

 法務総合研究所では,暴力団関係受刑者(服役の原因となった犯罪を行った時点で暴力団に所属していた受刑者をいう。)の意識等を明らかにするため,収容区分としてB級(JB,YB及びLB級を含む。)の指定がある41の刑務所を平成11年11月20日から12年2月20日までの3か月間に出所する男子受刑者(2,825人)を対象に,特別調査を行った。
 暴力団関係受刑者は,それ以外の受刑者と比較すると,「組など,所属組織のために事件を起こした」と答えた者の比率が高く,事件の罪種では,恐喝,傷害,銃刀法違反及び暴力行為等処罰法違反を犯した者の比率が高い。初めて警察に捕まったときの年齢は低い者が多く,当該非行又は犯罪の内容については,「暴力にかかわるもの」と答えた者の比率が高い。また,少年時の不良集団への加入歴のある者が多い。
 暴力団関係受刑者の暴力団への帰属意識等について見ると,暴力団に加入することによって得られる魅力・メリット等に関する意識については,「組の名前で仕事がしやすい」,「仲間が増える」及び「刺激にあふれている」を選んだ者が多く,反対に,暴力団に加入することによって受ける不利益・デメリット等については,「家族に迷惑をかける」,「警察ににらまれる」,「両親に迷惑をかける」を選んだ者が多い。暴力団から離脱しなかった理由としては,「組に義理があったから」とする者が最も多く,以下,「親分兄弟分との関係が切れなかったから」,「組員としての生活に満足していたから」,「他の手段で生活できなかったから」となっている。
 行刑施設で行われる暴力団離脱指導を受講した者は,調査対象となった暴力団関係受刑者全体の17.2%であり,離脱指導中,出所後何らかの役に立つとされたもので最も多いのは「施設職員の話」である。離脱指導を受けたと回答した者のうち,出所後の暴力団との関係について,「組にもどるつもりはない」とする者は,57.4%である。暴力団を離脱するために必要な条件・方法については,「暴力団(組)事務所との接触を断つこと」であるとする者が最も多く,次いで,「よその土地で暮らすこと」,「一般社会での就業や生活の基盤が確保されること」,「相談に乗ってくれる人がいること」,「仕事に関する訓練や資格があること」,「自分と家族の身の安全を確保すること」の順となっている。