前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成12年版 犯罪白書 第6編/第6章/1/(3) 

(3) 企業倒産をめぐる犯罪の動向と処理状況

 強制執行妨害については昭和30年代前半以降,競売入札妨害については20年代半ば以降,破産法違反については40年代半ば以降,いずれも検察庁新規受理人員が減少する傾向にあったが,強制執行妨害については平成8年に新規受理人員が9年ぶりに40人を上回り,競売入札妨害の新規受理人員も6年以降増加傾向にあり,これらとほぼ同時期から破産法違反の新規受理人員も増加に転じる兆しを見せている。近年,これらの罪の起訴率も上昇しているが,その一方では,強制執行妨害や破産法違反については,嫌疑不十分など,起訴猶予以外の理由による不起訴人員の比率が相対的に高く,強制執行妨害については,実刑に処された者はいない。これに対し,破産法違反については,数は少ないものの,実刑率は比較的高く,競売入札妨害については,7年以降,実刑率は10%台で推移している。
 なお,金融機関の破綻にかかわる不良債権の処理については,平成8年以降,数次の法改正や新規立法が行われており,これらの法律の規定を受けて,12年3月31日までに,競売入札妨害等により,145件・281人に対する告発がなされている。