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1 所属企業の属性 本調査の対象となった所属企業(本調査において,有罪判決を受けた代表者,従業者等が所属する企業をいう。以下同じ。)の特性を,業種,資本金,従業者数及び設立時期の各項目について見るとともに,総務庁統計局作成の「平成8年事業所・企業統計調査」における日本の全企業又は全事業所の数値(農林漁業を除く。)との比較も併せて行うこととする。
(1) 業種 VI-6表は,罪名別に,所属企業の業種を見たものである。
VI-6表 罪名別所属企業の業種 総数で構成比が高いものを見ると,建設業(40.6%),サービス業(21.9%),製造業(15.9%)となっており,建設業については,平成8年における我が国の全事業所中の構成比(9.9%)を大きく上回っている。罪名別に見ると,証券取引法違反では金融・保険業,独占禁止法違反では製造業,贈賄及び競売入札妨害では建設業,廃棄物処理法違反ではサービス業が,それぞれ高い構成比を示しており,全事業所における構成比を大きく上回っている。 (2) 資本金 VI-7表は,罪名別に所属企業の資本金を見たものである。
VI-7表 罪名別所属企業の資本金 総数では,資本金1,000万円以上3,000万円未満の企業の構成比が41.5%と最も高く,3,000万円未満の企業が合計で71.1%を占めており,全体として,比較的小資本の企業の構成比が高くなっている。平成8年における我が国の全企業中の構成比との比較においては,資本金300万円以上500万円未満の企業で,所属企業中の構成比(9.0%)が全企業中の構成比(34.3%)を大きく下回っている一方,資本金300万円未満の企業及び資本金50億円以上の企業で,所属企業中の構成比(それぞれ10.1%,6.3%)が全企業中の構成比(それぞれ2.0%,0.1%)を大きく上回っており,特に,資本金50億円以上の大資本の企業については,所属企業中の構成比が全企業中の構成比の50倍以上に達している。罪名別に構成比を見ると,競売入札妨害では,資本金300万円未満の小資本の企業が最も高く,次いで1,000万円以上3,000万円未満の企業となっており,法人税法違反,贈賄,商標法違反,著作権法違反及び廃棄物処理法違反では,1,000万円以上3,000万円未満の企業が最も高く,比較的小資本の企業の構成比が高くなっている。一方,商法違反,証券取引法違反及び独占禁止法違反では50億円以上の企業が最も高く,大資本の企業の構成比が高くなっている。 (3) 従業者数 VI-8表は,罪名別に,所属企業の従業者数を見たものである。
VI-8表 罪名別所属企業の従業者数 総数では,従業者10人以上20人未満の企業の構成比が21.7%と最も高くなっている。20人未満の企業は合計で50.4%と半数を超えており,従業員数が少ない企業の構成比が,全体として高くなっている。罪名別に構成比を見ると,廃棄物処理法違反では4人以下の企業,著作権法違反では5人以上10人未満の企業が,それぞれ最も高く,法人税法違反,贈賄,競売入札妨害及び商標法違反では,10人以上20人未満の企業が,それぞれ最も高くなっており,従業者数の少ない企業の構成比が高くなっている。一方,商法違反,証券取引法違反及び独占禁止法違反では,300人以上の企業が,それぞれ最も高く,従業者数の多い企業の構成比が高くなっている。 (4) 設立時期 VI-9表は,罪名別に,所属企業の設立時期を見たものである。
VI-9表 罪名別所属企業の設立時期 商法違反,証券取引法違反及び独占禁止法違反では,昭和29年以前に設立された企業,競売入札妨害では,50年から59年までの間に設立された企業の構成比が,それぞれ高くなっている。商標法違反,著作権法違反及び廃棄物処理法違反では昭和60年から平成6年までの間に設立された企業の構成比が高くなっている。 |