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 平成12年版 犯罪白書 第6編/第2章/第2節/2 

2 商法違反・独占禁止法違反・証券取引法違反

 昭和24年以降における商法違反,独占禁止法違反及び証券取引法違反の検察庁新規受理人員の推移は,VI-4図のとおりである(巻末資料VI-1参照)。

VI-4図 商法違反・独占禁止法違反・証券取引法違反の検察庁新規受理人員の推移

 商法違反の新規受理人員は,昭和55年から平成8年の間は,昭和61年,平成3年及び5年を除いて,100人を下回っていたが,9年以降は3年連続して100人を上回っている。11年は148人で,前年より14人減少した。
 独占禁止法違反は,昭和50年から平成2年までの間は,昭和52年,54年及び63年を除いて,新規受理人員がなかったが,平成3年以降は,隔年に新規受理人員を計上し,7年には最高の291人になった。10年は新規受理人員がなかったが,11年は56人となっている。
 競争制限行為等に係る処罰規定においては,公正取引委員会の告発が訴訟条件になっており,昭和50年から平成2年までの間は,告発はなかったが,公正取引委員会では,同年6月に,「独占禁止法違反行為に対する刑事告発に関する公正取引委員会の方針」を公表して,今後積極的に刑事処罰を求めて告発を行う方針を明らかにした。VI-2表は,3年以降の公正取引委員会からの告発件数の推移を見たものである。

VI-2表 公正取引委員会からの告発件数

 なお,公正取引委員会は,事業者が競争制限行為等に係る禁止規定に違反していると認めたときには,排除措置を執るよう勧告し,あるいは課徴金の納付を命令するなどの権限を有するが,平成11年において,公正取引委員会は,32件,延べ1,121の事業者に対して排除勧告を行い,23件,延べ713の事業者に対して,1事業者当たり最低50万円から最高37億4,519万円,総額184億3,332万円の課徴金を納付するよう命令等を行っている(公正取引委員会の資料による。)。
 証券取引法違反の新規受理人員は,昭和56年から平成5年までは20人を下回っていたが,6年以降は,8年を除いて,20人を上回っており,9年には最高の89人に達した。11年は54人で,前年より20人増加した。
 前記のとおり,平成4年には証券取引等監視委員会が新設されたが,VI-3表は,同年以降の証券取引等監視委員会からの告発件数の推移を見たものである。11年12月末までの告発総数27件の内訳は,損失補てんが7件,風説の流布が2件,相場操縦が3件,インサイダー取引が10件,有価証券報告書等虚偽記載が5件となっている(証券取引等監視委員会の資料による。)。

VI-3表 証券取引等監視委員会からの告発件数