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検察庁は,検察官の事務を統括するところであり,その種類には,最高裁判所に対応する最高検察庁,高等裁判所に対応する高等検察庁,地方裁判所及び家庭裁判所に対応する地方検察庁,簡易裁判所に対応する区検察庁の四つがある。その組織数は,平成12年6月30日現在,最高検察庁1,高等検察庁が本庁8,支部6,地方検察庁が本庁50,支部203,区検察庁438となっている。
検察官は,公益の代表者として,[1]犯罪について捜査をする権限,[2]刑事について公訴を行う権限,[3]刑事について裁判所に法の正当な適用を請求する権限,[4]刑事について裁判の執行を監督する権限,[5]裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは,裁判所に,通知を求め,又は意見を述べる権限,[6]他の法令がその権限に属させた事務を行う権限を有している。 我が国においては,国家訴追主義が採られている。私人による訴追は認められず,付審判請求に係るいわゆる準起訴手続(第5編第2章第1節参照)を唯一の例外とするほかは,公訴権は検察官にのみ付与されている(検察官による起訴独占主義)。 検察官は,警察等からの事件送致や告訴・告発等を受け,あるいは自ら事件を認知して捜査を行い,その結果等に基づき事件を処理する。事件処理には,終局処分と中間処分とがあり,終局処分は,起訴処分と不起訴処分とに大別される。 起訴処分には,公判請求のほか略式命令請求及び即決裁判請求がある。不起訴処分には,[1]被疑者死亡,法人等消滅,親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し等訴訟条件を欠くことを理由とするもの,[2]刑事未成年,心神喪失等事件が罪にならないことを理由とするもの,[3]嫌疑なし,嫌疑不十分等犯罪の嫌疑が認められないことを理由とするものがあるほか,犯罪の嫌疑がある場合でも,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときに行う起訴猶予処分がある(起訴便宜主義)。 なお,検察官は,少年の被疑事件について捜査を遂げた結果,犯罪の嫌疑があるものと思料するときは,家庭裁判所から送致を受けた事件である場合を除いて,これを家庭裁判所に送致しなければならないとされている。また,犯罪の嫌疑がない場合でも,虞犯事犯のように家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは,同様に家庭裁判所に送致しなければならないとされている(少年事件の検察については,第3編第2章第2節参照。)。 |