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1 少年院からの仮退院 第二次世界大戦終結時においては,矯正院法に基づき,少年審判所が仮退院及び退院を許可していたが,実際の運用においては,在院中に矯正の目的を達したとする退院の方が,仮退院よりも多用される傾向にあった。しかし,昭和24年の犯罪者予防更生法の施行により,仮釈放の審理・決定機関として地方少年保護委員会(現在の地方更生保護委員会)が設置されるとともに,仮退院後の保護観察制度が整備され,また,矯正院法が廃止されて現行の少年院法により少年院の運営が行われるようになり,以後,退院よりも仮退院が原則的なものとされるようになった。すなわち,現行制度の下では,少年院からの仮退院は,在院者が処遇の最高段階に達し,保護観察に付することがの改善更生のために相当と認められるときはもとより,処遇の最高段階に達していなくても,本人の努力で成績が向上し,保護観察に付することが本人の改善更生に特に必要であると認められるときに許可されるとされた。(本編第2章第2節,第3節2及び第4節1参照)
II-79図は,昭和24年以降における少年院仮退院人員及び仮退院率の推移を見たものである。 少年院仮退院人員は,少年法の適用年齢が20歳未満に引き上げられた翌年の昭和27年に1万人近くに達した後減少に転じ,特に40年代には少年院新収容者の減少に伴って激減し,50年には1,500人台になった。そして,少年院の運営改善(本章第2節2参照)により短期処遇の区分が設けられるなどした52年前後から増加に転じ,59年から62年にかけて5,000人を上回る状態が続いたが,以後再び減少傾向にあり,平成8年には3,762人となっている。 仮退院率は,昭和26年の98.0%をピークに,その後次第に低下し,40年代半ばには70%台の前半で推移したが,その後上昇に転じ,52年に80%台に,53年に90%台に達し,その後も上昇傾向を維持し,平成8年には96.5%となっている。 なお,仮退院申請が地方更生保護委員会において棄却された人員は,昭和41年まではおおむね100人台から200人台で推移していたが,その後減少し,49年以降は一けた台ないし該当なしで推移しており,平成8年は1人となっている。(巻末資料II-29参照) II-79図 少年院仮退院人員及び仮退院率の推移(昭和24年〜平成8年) |