第4節 更生保護関係法令
1 犯罪者予防更生法及び関係法律の成立, 戦前において,現在の更生保護制度に該当する制度は,司法保護制度と呼ばれ,これについては,刑法(明治40年法律第45号),監獄法(明治41年法律第28号),恩赦令(大正元年勅令第23号),(旧)少年法(大正11年法律第42号),矯正院法(大正11年法律第43号),司法保護事業法(昭和14年法律第42号)等の諸法令にその運用に関する定めが置かれていた。 第二次世界大戦後の新たな時代・情勢に対応して,犯罪者及び非行少年の保護監督の体制を確立し,その更生の促進と再犯防止を図るため,昭和24年5月に犯罪者予防更生法(昭和24年法律第142号)が公布され,同年7月から施行された。 犯罪者予防更生法は,犯罪をした者の改善及び更生を助け,恩赦の適正な運用を図り,仮釈放等の管理についての公正妥当な制度を定め,もって社会を保護し,個人及び公共の福祉を増進することを目的とする。同法においては,新憲法の理念の下,合議制の行政機関である地方成人保護委員会及び地方少年保護委員会が権限を行使する仮釈放,並びに仮釈放を許された者,非行少年等に対する保護観察が「更生の措置」として規定されたが,執行猶予者に対する保護観察については国会の審議過程において修正がされた結果,18歳未満の少年に限定されるものとなった。 なお,恩赦については,大日本帝国憲法では天皇の人権事項とされていたところ,日本国憲法では,これが内閣の権限事項となり,天皇は内閣が決定した恩赦を認証することとされ,昭和22年3月,恩赦法(昭和22年法律第20号)が制定・公布され,同年5月,新憲法と同時に施行され,恩赦令は廃止された。 犯罪者予防更生法の施行当初は,司法保護事業法による司法保護団体及び司法保護委員の協力の下に,保護観察等が実施されていたが,司法保護団体及び司法保護委員についても,新しい時代に即応したものとするため,昭和25年5月に,更生緊急保護法(昭和25年法律第203号)及び保護司法(昭和25年法律第204号)が公布及び施行され,司法保護事業法は廃止された。 更生緊急保護法は,保護観察の対象とされない満期釈放者,起訴猶予者,執行猶予者等について,本人の申し出があった場合に,身体の拘束を解かれた後6月を超えない範囲において,緊急適切な保護を実施すること,及び更生保護事業を営む者の経営の認可,監督等について規定するものであった。また,保護司法は,社会奉仕の精神をもって,犯罪者の改善更生を助け,犯罪予防のため世論を啓発し,地域浄化活動を行う保護司の使命,服務等について規定した。
|