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1 少年の仮釈放 少年の仮釈放として,少年院在院者の仮退院及び不定期刑受刑者の仮出獄について述べる。
(1)少年院在院者の仮退院 少年院からの出院には,満期又は満齢による退院のほか,地方更生保護委員会の許可決定による仮退院及び退院がある。最近における出院事由別の出院人員を見ると,III-72表のとおり,仮退院による出院者が逐年増加し,昭和53年では3,066人(出院者の90.9%)となっている。 III-72表 出院事由別少年院出院人員(昭和49年〜53年) III-73表 処遇別少年院仮退院事件の受理・処理(昭和53年) 仮退院は,少年院在院者が矯正処遇の最高段階に到達し,保護観察に付することが少年の更生のため相当であると認められたとき,又は矯正処遇の最高段階には達しないが,少年自身の努力によって成績が向上し,保護観察に付することが少年の更生のため特に必要であると認められるときに許される。昭和53年までの仮退院審理事件の受理・処理状況はII-51表,52表に示したとおりであるが,53年について,少年院の一般短期処遇・交通短期処遇・長期処遇別の内訳を見ると,III-73表のとおりであり,棄却された者は極めて少ない。仮退院の許可決定があった後出院するまでに,少年自身の規律違反又は帰住先の状況の変化によって仮退院を相当としない事情が生じた場合は,その決定が取り消されるが,53年における仮退院許可決定の取消しは,98件(一般短期51件,交通短期2件,長期45件)である。III-74表及びIII-75表は,昭和53年に仮退院を許されて出院した者について,処遇区分別に在院期間を見たものである。一般短期にあってはおおむね180日以内に,交通短期にあってはおおむね120日以内に,それぞれ仮退院している。 III-74表 短期処遇実施少年院仮退院者の在院期間(昭和53年) III-75表 長期処遇実施少年院仮退院者の在院期間(昭和53年) (2)不定期刑受刑者の仮出獄不定期刑受刑者の仮出獄審理手続及び仮出獄許可基準は,定期刑受刑者のそれと異なることはないが,要件期間が短期の三分の一とされている。最近5年間における不定期刑受刑者の仮出獄許否状況は,III-76表のとおりであり,仮出獄申請棄却率は定期刑受刑者のそれよりは低いものの,近年やや上昇の傾向が認められる。 III-76表 不定期刑受刑者に対する仮出獄許否状況及び定期刑受刑者に対する棄却率(昭和49年〜53年) III-77表は,最近5年間に仮出獄を許された者について,刑の短期経過前出所者と短期経過後出所者のそれぞれの割合を見たものである。短期経過前出所者の割合は,昭和51年には36.5%を示していたが,その後やや減少し,53年には31.7%となっている。同じく最近5年間の不定期刑仮出獄者について刑の執行率別の割合を見ると,III-78表のとおりである。執行率50%未満で仮出獄を許される者の割合は,51年には12.5%であったが,53年には7.5%とやや減少している。また,執行率80%以上で仮出獄を許される者の割合を見ると,51年には25.5%であったが,53年は29.2%とやや増加している。なお,III-79表は,53年における不定期刑受刑者の刑期別に刑の執行率別の人員の割合を,同じ年の定期刑仮出獄者のそれと対比して示したものである。定期刑仮出獄者は,刑期の各段階を通じて過半数が80%以上の刑執行を受けた後に出所しているが,不定期刑仮出獄者の場合,80%以上の刑執行後出所する者は,刑の長期の各段階を通じて,半数を超えることはない。このように,不定期刑仮出獄者については,定期刑仮出獄者よりも比較的長い仮出獄期間が確保されていると言えよう。III-77表 不定期刑仮出獄の短期経過前・後の許可人員の比率(昭和49年〜53年) III-78表 不定期刑仮出獄者の執行率別人員構成比(昭和49年〜53年) |