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3 不定期刑の執行状況 我が国における不定期刑は少年に対してのみ適用されており,長期は10年以下,短期は5年以下において実施されている。最近における不定期刑の執行状況に関し法務総合研究所が行った調査結果のうち,昭和49年中に釈放された不定期刑受刑者の出所後3年間における再入率が22.7%であることは,前年の白書で述べたところであるが,以下,そのほかの若干の状況について紹介する。
(1)罪名別処遇経過 調査の対象となった昭和49年釈放の不定期刑受刑者282名について,主たる罪名につきその処遇経過の概況を見たのがIII-69表である。在所期間の平均は2.9年で,平均より在所期間の長いものは強盗致死傷,強盗強姦・同致死,殺人,放火,傷害致死,強盗などであり,平均より短いものは,麻薬取締法違反,業務上過失致死傷,暴力行為等処罰法違反,傷害・暴行,窃盗などである。 III-69表 不定期刑受刑者の罪名別処遇経過 III-70表 不定期刑受刑者の罪名別刑の執行状況及び再入率 在所中の懲罰状況を見ると,回数の多いものに,麻薬取締法違反,傷害・暴行,暴力行為等処罰法違反,恐喝などがあり,少ないものは,業務上過失致死傷,放火,強盗強姦・同致死,殺人などである。麻薬取締法違反については,該当者10人がいずれもアメリカ人で,問題行動の背景に文化的な相違のあったことが考えられる。懲罰回数の少ない罪名の多くが人を死に至らしめた犯罪であることは,これらの受刑者が他に比べてより自重した生活を送っていることをうかがわせる。(2)刑の執行率と再入率 III-70表は,刑の執行率と再入率とを罪名別に見たものである。全般的に見れば,約三分の二程度の者が刑期(長期基準)の8割未満の執行率をもって出所している。出所者全員の出所後3年間の再入率は22.7%であって,これは,III-71表に見る成人を含めた全受刑者の再入率より相当低いものとなっている。 また,執行率別に再入状況を見ると,執行率の低い者に概して再入率が低く,執行率の高い者に比較的再入率が高い傾向がある。罪名別に再入状況を見ると,恐喝,窃盗については執行率が高く再入率も高い一方,強姦,殺人については執行率は平均より低く,再入率も10%台と低くなっている。 III-71表 昭和49年釈放受刑者の再入状況 |