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 昭和36年版 犯罪白書 第二編/第四章/五 

五 婦人補導院からの仮退院

 売春防止法第五条の罪(売春の勧誘など)で刑の執行を猶予され,補導処分で婦人補導院に収容された婦人についても,仮退院の制度があり,仮退院を許されると保護観察に付されることになるが,収容期間が法律で六カ月ときめられていて短いので,この期間のなかで仮退院の適格性をそなえることになる者は少ない。この制度が始まった昭和三三年四月から昭和三四年一二月までの間に,婦人補導院に収容されたものは三七四人,仮退院申請一五〇件,仮退院で釈放されたものは一一四人である。
 仮退院の期間も,いきおいきわめて短い。昭和三四年中に仮退院期間満了となった九三人についてみると,一カ月未満が九〇人,一カ月をこえるものはわずかに三人である。期間が短いために保護観察が十分にできないと思われるので,本人の社会復帰後に予想される種々の問題は,できるだけ仮退院審理の段階で処理しておかないと,仮退院をさせるわけにいかない。ところが,本人の身辺の事情は複雑で調整が容易でないし,短い在院期間の終期はどんどん迫ってくる。このような事情の影響もあって,婦人補導院の仮退院事件では,仮出獄事件や少年院仮退院事件にくらべて,申請棄却の割合が高い(V-22表)。

V-22表 婦人補導院仮退院事件の許可・棄却別人員と率(昭和33,34年)