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 昭和36年版 犯罪白書 第二編/第五章/一/1 

第五章 更生保護

一 更生保護制度

1 更生保護の立場

 更生保護は,社会を保護し社会の福祉をまもるために犯罪者を更生させる目的で,国の責任において実施している制度で,犯罪者の更生をはかる保護措置である。
 犯罪者の更生を促進する手段は,その取扱いの諸段階で行なわれ,特に矯正施設においては,そのため大きな努力が払われている。しかし,更生の完成は,社会の中で,はじめてできることである。しかも,社会には,更生を妨げる因子が多い。本人が前に犯罪に陥ったその社会の中で,自力で更生を遂げることは,決して容易なことではない。だから更生をさせるためには,その目的にふさわしい方法が,組織的かつ意欲的に,講ぜられねばならない。この必要に応ずるために設定されているのが更生保護制度である。更生保護制度は,合理的精神とヒューマニズムとに基礎づけられた,新しい犯罪対策の制度である。