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 昭和50年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/2 

2 暴力団関係者の検挙状況

 昭和48年及び49年の暴力団関係検挙人員を主要罪名別に示したのが,III-107表であり,49年の検挙人員について図示したのが,III-10図である。49年の検挙人員は,前年より1,200人増加して5万3,277人となっている。罪名別に見ると,前年より増加したのは,刑法犯では,強盗,強姦,暴行,傷害,窃盗,賭博であり,特別法犯では,銃砲刀剣類所持等取締法,風俗営業等取締法,売春防止法,競馬法の各違反である。

III-107表 主要罪名別暴力団関係検挙人員(昭和48年・49年)

III-10図 主要罪名別暴力団関係検挙人員の百分比(昭和49年)

 また,昭和49年の暴力団関係検挙人員について罪名別の構成比を見ると,最も多いのは傷害(22.1%)であり,次いで,賭博(14.2%),暴行(13.1%),恐喝(8.8%),覚せい剤取締法違反(7.0%),競馬法違反(6.5%),銃砲刀剣類所持等取締法違反(4.3%)の順となっており,暴力団関係者の行動の実態を表している。
 次に,これらの犯罪によって検挙された暴力団関係者がどのような属性を持っているかを検討することとする。
 III-11図は,昭和49年の暴力団関係検挙人員について所属団体の種類別の構成比を示したものである。博徒が総数の35.9%で最も多く,次いで,テキ屋の16.4%,青少年不良団の8.9%などとなっている。

III-11図 暴力団関係者所属団体別検挙人員の百分比(昭和49年)

 また,同じ暴力団検挙人員について地位別の構成比を示したのが,III-12図である。これによると,首領が総数の1.4%,幹部が12.3%,組員が26.1%,準構成員が25.7%などとなっている。

III-12図 暴力団地位別検挙人員の百分比(昭和49年)

 次に,昭和49年の刑法犯(過失犯を除く。)の暴力団関係検挙人員について年齢層別に示したのが,III-13図である。30歳未満の者が総数の50.2%を占めている。これを一般人を含めた検挙人員全体の年齢層別構成比と比較すると,暴力団関係検挙人員では,30歳以上の者の比率が高くなっていることが注目される(I-14表参照)。

III-13図 年齢層別刑法犯暴力団関係検挙人員の百分比(昭和49年)

 また,暴力団関係者の犯罪傾向の進度の一端を見るために,昭和49年における過失犯を除く刑法犯の暴力団関係検挙人員について,前科を有する者の割合を主要罪名別に示したのが,III-14図である。前科を有する者の割合は70.9%に達しており,これに逮捕歴のある者を加えると78.4%の高率となる。一般人を含む検挙者全体の中での前科を有する者の割合は29.3%であるから(I-20図参照),暴力団関係者には,犯罪傾向の進んだ者が多いことがわかる。また,罪名別に見ると,前科を有する者の割合は,詐欺が80.5%で最も高く,次いで,殺人の79,0%,脅迫の78.9%,窃盗の78.6%,わいせつの76.2%,傷害の73.4%の順となっている。

III-14図 刑法犯の暴力団関係成人検挙人員中の前科を有する者の比率(昭和49年)

 次に,暴力団の活動の地域的な状況を見るため,昭和49年における人口100万人当たりの暴力団関係検挙人員(以下,「人口比」という。)を都道府県別に図示したのが,III-15図である。暴力団関係検挙人員の人口比は,東京が最も高く,続いて,大阪,神奈川,鳥取,兵庫,広島,静岡,北海道などの順となっており,逆に,滋賀,茨城,鹿児島,宮崎,佐賀などでは,人口比が低くなっている。

III-15図 都道府県別暴力団関係検挙人員人口比(昭和49年)