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 昭和50年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/1 

第1節 暴力団犯罪

1 暴力団の概況

 暴力団を正確に定義することは難しいが,常識的にいえば,「集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行い又は行うおそれのある組織又は集団」といえる。このような集団としては,博徒,暴力テキ屋,青少年不良団(いわゆるぐれん隊)が代表的なものであるが,このほかにも,売春暴力団,港湾暴力団,会社ゴロなどと呼ばれる各種の集団がある。
 III-105表は,昭和39年及び最近5年間の暴力団団体数及び構成員数を示したものである。49年末現在で,警察庁において把握している暴力団団体数は2,650団体であり,その構成員は11万819人である。そのうち,広域暴力団(2以上の都道府県にわたって組織を有する暴力団をいう。)は,全暴力団の76.7%を占める2,032団体に上り,その構成員は,総数の57.6%に当たる6万3,877人となっている。最近5年間の推移を見ると,暴力団全体及び広域暴力団は,いずれも,団体数及び構成員数ともに逐年減少しているが,広域暴力団の減少率は暴力団全体の減少率よりも低いため,暴力団全体の中に占める広域暴力団の比率は,団体数及び構成員数において,ともに逐年上昇している。また,49年の広域暴力団について,10年前と比較すると,団体数では約1.6倍となり,構成員数では約1.3倍となっている。

III-105表 暴力団団体数及び構成員数(昭和39年,45年〜49年)

 このように,最近の暴力団は,団体数及び構成員数とも減少する傾向にあるが,暴力団の広域化及び系列化が続いているので,暴力団の動向には警戒が必要である。暴力団の組織の拡大と再編成は,暴力団相互の対立抗争事件を発生させ,また,これに備えて暴力団の武装化を促進させる。最近における暴力団の対立抗争事件の推移を見ると,過去10年間の最高を記録した昭和45年の129件から逐年減少し,48年には52件となったが,49年には再び増加して77件となっている。次に,暴力団の武装化傾向の一端を表すものとして,39年及び最近5年間の暴力団関係者からの凶器の押収状況を示したのが,III-106表である。押収された凶器の総数は逐年増加しているが,特に,けん銃の増加は著しく,過去5年間に約6.3倍の増加となっている。

III-106表 暴力団関係者押収凶器数(昭和39年,45年〜49年)

 そのほか,最近の暴力団の活動の特徴として挙げられることは,従来からの資金源である賭博,売春,覚せい剤取引,わいせつフィルムの製造・販売等における活動のほかに,総会屋,会社ゴロ,新聞ゴロ,暴力金融などの新しい分野への進出が目立つとともに,団体や内部組織の名称を変更して暴力団であることを偽装し,不動産業,建設業,風俗営業などを行い,これに仮託して違法行為を行うことにより資金を獲得するなどして,勢力の伸張を図っていることである。