前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和42年版 犯罪白書 第三編/第一章/一/3 

3 少年特別法犯の動向

 昭和四一年中に検察庁で新たに受理した(家裁からの逆送,検察庁間の移送および再起による受理を除く。以下,本章において,「新規受理」という。)特別法犯にかかる少年の人員は,五六七,四八一人である。このうち,大部分を占めるものは,道路交通法違反によるものであって,昭和四一年には,全体の九七・六%となっている。道交違反は,数のうえで多いばかりでなく,行為の態様,行為者の質などにおいても,他の特別法違反とは異なる点が多いので,以下においては,道交違反とその他の特別法犯の二つに分けて,それぞれ考察することとする。
 まず,少年の道交違反についてみると,昭和四一年中の検察庁新規受理人員は,五五四,一二五人であって,これは,同年中の全道交違反事件新規受理人員の一一・〇%にあたる。昭和四〇年の受理人員と比べると,実数で二三,四七三人,構成比率で〇・七%の減となっている。
 III-5表およびIII-4図によって,最近一〇年間の推移をみると,昭和三二年以降増加を続け,昭和三五年には,指数で一九九を示すに至った。三六年には,やや減少したが,三七年には,二二五と増加し,三八年に二二二と減少,三九年には,二五六と再び増勢を示してきていた。四〇年には,二八二となり,最高の指数を示したが,四一年には,やや減少した。しかし,昭和三二年に比べると,まだ二七〇の高い指数を示していることは注意される。

III-5表 道路交通法違反事件検察庁新規受理人員の推移(昭和32〜41年)

III-4図 道路交通法違反事件検察庁新規受理人員の推移(昭和32〜41年)

 つぎに,右の動向を一四歳以上二〇歳未満の少年人口一,〇〇〇人に対する割合(人口比)でみると,III-5表に示すように,昭和三二年には,一八・七であったものが,毎年増加し,三五年には,三七・八となり,その後しばらく,三〇台を上下したが,三九年には,四一・八となり,四〇年には,四四・八の高率を示すに至った。四一年には,四一・四となり,前年に比しやや低いが,依然かなり高率を保っている。
 つぎに,同表によって道交違反事件全体の新規受理人員中に占める少年の構成比率という点からみると,昭和三五年の一五・八%をピークとし,三七年以降は,おおむね横ばいとなって,最近に至っている。これは,いうまでもなく,少年の道交違反事件の増加と同様,あるいはそれ以上に,成人のそれが増加したためである。
 つぎに,道交違反以外の少年特別法犯についてみよう。昭和四一年の道交違反以外の少年特別法犯にかかる検察庁新規受理人員は,一三,三五六人であって,成人を含めた同年中の全受理人員の七・五%を占めている。昭和四〇年に比べると,人員では一,〇六六人滅少したが,構成比率は,前年と同様である。
 III-6表によって,最近一〇年間の推移をみると,昭和三二年の人員を一〇〇とした場合,三三年に八七と減少し,三五年には一三七と増加,三六年に一二二と減少し,その後増加したが,三八年の一四九をピークとして三九年以降は,減少の一途をたどっており,昭和四一年の指数は,一一八である。同表によって,人口比をみると,昭和三二年に一・〇であったものが,三五年には一・四となった。その後,やや減少したが,三八年には,再び一・四を示すに至った。三九年以降は減少し続け,四一年には,一・〇となっている。つぎに,同表によって,全新規受理人員中に占める構成比率をみると,最近数年間,六・〇%ないし八・八%であり,昭和四一年は,前述のように七・五%であって,刑法犯の場合の二六・一%,道交違反の一一・〇%に比べて,最も低率である。

III-6表 特別法違反事件検察庁新規受理人員の推移(昭和32〜41年)