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2 被疑事件の処理 (一) 概況 昭和四一年中に全国の検察庁で処理した被疑者の総数は七,六七七,九二七人(ただし,検察庁間の移送を除くと,五,七一〇,七一三人となる。)で,これを処理区分別に率を算出し,円グラフを作成すると,II-2図のとおりで,また,最近五年間の処理状況を,処理区分別に示すと,II-6表のとおりである。
II-2図 処理区分別被疑者総数(昭和41年) II-6表 処理区分別被疑者総数(昭和37〜41年) まず,この図によると,昭和四一年中に処理された者のうち,起訴された者は,総数の五六・二%にあたるが,その内訳は,公判請求が総数の一・六%,略式命令請求が五四・二%であり,即決裁判請求は,わずか総数の〇・四%にすぎない。不起訴処分は,総数の七・七%であるが,そのうち,約九割は,起訴猶予である。なお,検察庁間の移送は,総数の二五・六%,家庭裁判所送致は,一〇・〇%となっている。つぎに,II-6表によると,起訴数,家庭裁判所に送致の数,検察庁間の移送の数および処理総数は,昭和三七年以降,逐年増加の傾向を示していたが,昭和四一年には,いずれも,前年より少しずつ減少を示した。これは,主として道交違反の増減によるものである。なお,不起訴人員数は,昭和三九年以降,逐年減少している。 つぎに,起訴された者について,起訴の手続別,すなわち,公判請求,略式命令請求,即決裁判請求の三区分別に,最近五年間の推移をみると,起訴合計数の増加が主として略式命令請求の増加によるものであることが明らかである。また,公判請求の実数が,昭和三七年以降減少していたのに,昭和四〇年から増加の傾向を示していること,および即決裁判請求が,昭和三八年以降急激に減少していることが注目される。即決裁判手続は,道交違反事件を迅速に処理するために設けられた制度であるが,このように激減したのは,昭和三八年一月一日から交通切符制度が実施されたことなどによるものと思われる。 (二) 検察庁における事件処理期間 昭和三六年,同三八年および同四〇年について,各年別に全国の検察庁で処理された道交違反を除く被疑事件の処理期間をみると,II-7表のとおりである,この表によると,昭和四〇年は,一五日以内に六一・六%,一月以内に七八・八%,三月以内に九三・〇%の事件が処理され,全体として事件の迅速処理の実をあげているといえる。なお,受理の時から一年を経ても処理されない事件の実数が,年ごとに減少していることは好ましい傾向と思われる。
II-7表 被疑事件処理期間別人員(昭和36,38,40年) |