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 昭和42年版 犯罪白書 第二編/第一章/一 

第二編 犯罪者の処遇

第一章 検察および裁判

一 検察

 法律上,犯罪者であることを確定するためには,刑事手続に従い,証拠によって,その者が有罪であることが証明されることを必要とする。この手続の基本的なものは刑事訴訟法に定められている。刑事手続は,捜査に始まり,検察官の起訴,不起訴の決定を経て,起訴された者については,裁判の確定によって終結する。現行法上の捜査機関は,警察官である一般司法警察職員と,森林,鉄道その他特別の事項についてその職務を行なう特別司法警察職員ならびに検察官および検察事務官となっている。
 司法警察職員が捜査をしたときは,特別の定めがある場合を除いて,すみやかに書類ムおよび証拠物とともに,事件を検察官に送致しなければならないことになっているので,原則的には,ほとんどすべての事件が検察官の手もとを経由することとなり,かつ,検察官の行なう起訴,不起訴の処分が捜査の締めくくりをなしているといえよう。
 ところで,検察官は,右に述べた犯罪の捜査,公訴の提起または不起訴処分をなす権限をもつほか,公訴を提起した場合においては,原告官として,公判の立会およびこれに付随する各種の手続を行ない,いわゆる論告,求刑をし,必要があるときは,上訴などをし,また,刑事裁判の執行を指揮監督する等の権限を有するのであるが,この検察官の種類および定員は,昭和四二年三月末現在で,検事総長(一人),次長検事(一人),検事長(八人),検事(一,〇七二人),副検事(七六二人)となっている。
 また,検察官の行なう事務を統括するところが検察庁であるが,その種類と数は,昭和四二年三月末現在で,最高検察庁(一),高等検察庁(八),同支部(六),地方検察庁(四九),同甲号支部(八一),同乙号支部(一五九),区検察庁(五七〇)である。