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 昭和42年版 犯罪白書 第一編/第三章/二/3 

3 女子受刑者

 女子の新受刑者は,男子に比較して著しく少なく,しかも,わずかながら,おおむね減少傾向にあることはすでに述べた。かつては,女子新受刑者には,男子と異なり,初犯者が多く累犯者が少なかった。しかし,最近の傾向としては,新受刑者のうち,累犯者の占める割合は,年々増加し,男子とほぼ同様の割合になってきている点が目につく。昭和三五年には,女子新受刑者(有期の懲役受刑者のみ)のうち,累犯者は四四%,非累犯者は五六%であったが,昭和四〇年には,累犯者五二%,非累犯者四八%,昭和四一年には,累犯者五〇・四%,非累犯者は四九・六%であって,昭和四一年には,やや後退したが,ここ数年間における累犯者の増加は著しい。昭和四一年における男子新受刑者では,累犯者五二・五%,非累犯者は四七・五%であるから,女子新受刑者の累犯者の割合は,男子のそれに近接してきている。
 つぎに,女子受刑者について,その特色の一,二を,最近の法務総合研究所の実態調査の結果から考察してみよう。昭和四二年一月一五日現在で,全国の女子刑務所に在所中の女子受刑者は,一,一九五人であり,その年令別罪種をみると,I-45表のとおりである。

I-45表 女子受刑者の年令別罪種(昭和42年1月15日現在)

 まず,年令についてみると,I-13図でもあきらかなように,三五歳ないし三九歳の年令層が最も多いが,この年令層を中心として高年令層にいたるまで,かなり幅広く分布している。三〇歳未満の比較的若い年令層のものは,全体の二八%にすぎず,三〇歳以上の年令層のものが七二%である。昭和四一年一二月末現在の男子受刑者の年令をみると,三〇歳未満の年令層のものは,五一%であるから,男子に比較して,女子受刑者では,高令者の多いことが特徴である。

I-13図 女子受刑者の年令別人員

 罪名では,窃盗が最も多く,全体の五三・四%を占めており,ついで,殺人の一三・一%,売春防止法違反の一一%,詐欺九・二%等である。これを年令層別にみると,I-14図であきらかなように三〇歳未満の若い年令層では,窃盗が圧倒的に多く,その他の罪名のものは少ないが,三〇歳以上の高年令層になると,窃盗によるものの割合は少なくなり,詐欺,殺人,売春防止法違反によるものが比較的多くなっている。とくに,売春防止法違反によるものは,若い年令層に少なく,四〇歳以上の高年令層に多いのが目につく。

I-14図 女子受刑者の年令別主要罪名別百分率

 女子受刑者について,罪名別に犯罪および非行の前歴の有無をみると,I-46表のとおりであって,全体の約七〇%のものが,なんらかの前歴を持っていることになる。罪名別にみて,前歴のあるものの割合のとくに高いのは,窃盗と売春防止法違反であって,それぞれ約九〇%のものが前歴をもっている。また,前歴のあるもののうち,少年院への収容経験のあるものが一九%あり,罪種別では,強盗,放火,麻薬・覚せい剤取締法違反者にその割合が高い。

I-46表 女子受刑者罪名別前歴の有無(昭和42年1月15日現在)

 さらに,刑務所への入所度数でみても,窃盗および売春防止法違反によるものは,初人者の割合が四〇%程度で,入所回数の多いものの割合が高い。女子新受刑者のうち,累犯者の割合が年々高くなってきていることをさきに指摘したが,今回の調査結果からみると,主として窃盗および売春防止法違反によるものが累犯者の割合を高めていると思われる。
 これら女子受刑者の出所後の再犯の見通しについて,施設職員の判定結果からみると,窃盗,詐欺,売春防止法違反などの罪種のものに,再犯のおそれがあると判定されているものが多い。窃盗では六〇%,売春防止法違反者では九〇%のものが,再犯のおそれがあると判定されている。とくに,窃盗によるものの帰住予定先をみると,再犯のおそれがあるとみられているもののうち,八五%は,家族もあり,帰るべき家があるにかかわらず,そのうちの四分の一のものは,家族のもとに帰ることを希望せず,知人のもとあるいは保護会への帰住を希望している。