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 昭和42年版 犯罪白書 第一編/第三章/三 

三 外国人犯罪

 外国人登録法に基づく外国人の登録人員数を,法務省入国管理局の統計によってみると,I-47表の示すとおりであって,昭和四一年一二月三一日現在において,六六八,三一八人である。これに,外国の外交官,その他,外国人登録法による登録の対象とならない外国人の数を含めた場合,常時,わが国にいる外国人の数は,七〇数万人と推定される。

I-47表 外国人登録国籍別人員(昭和41年12月31日現在)

 最近五年間における外国人犯罪の状況を,検察庁の新規受理人員によってみると,I-48表のとおりである。まず,総数では,昭和三六年の八六,三九八人から昭和四一年の一一一,五六四人と,かなりの増加を示している。これは,主として,道交違反の増加によるものであって,日本人を含めた検察庁新規受理人員総数に対する割合では,昭和三六年の二・三%から昭和四一年の二・〇%と,むしろ,減少の傾向にある。つぎに,刑法犯は,新規受理人員総数に対する割合が,昭和三六年の三・六%から,昭和四一年の二・八%と漸減しているが,昭和三八年まで,これに歩調を合わせて減少していた実数が,昭和三九年以降は,増勢に転じている。これも,おそらくは,自動車交通に起因する業務上過失致死傷事件を起こす者が,日本人,外国人ともに,増加したためと思われる。道交違反については,その実数は,おおむね,新規受理人員総数の増減に比例して増減しており,したがって,総数に対する割合も,ほぼ横ばいの状態にある。特別法犯においては,その実数は,二万人前後と,ほぼ一定し,特別法犯新規受理人員総数に対する割合も,昭和三八年を除いては,おおむね,一一ないし一二%前後の数字を示している。以上を総合すると,外国人犯罪は,交通犯罪を除いては,あおむね,横ばいまたは減少の状態にあるといってよいように思われる。

I-48表 外国人犯罪の検察庁新規受理人員(昭和36〜41年)

 つぎに,昭和四一年における検察庁の新規受理人員について,罪名別に,受理人員総数に対する割合をみると,刑法犯は,総数において二・八%であるのに,賍物関係が,例年同様,一一・三%という高率を示し,これについで,恐かつが五・二%,とばく・富くじが四・九%,傷害が四・六%,公務執行妨害が四・二%,強盗致死傷・強盗強かんが三・八%と,総数の比率をかなり上回る数字を示している。また,特別法犯は,総数において一二・〇%と,刑法犯および道交違反と比べてかなり高い率を示している。このうち,外国人登録法および出入国管理令の各違反において,その九四・三%および九九・五%が外国人によって占められていることは,法令の規制内容の性質上当然であるが,関税法違反において二五・九%,外国為替及び外国貿易管理法違反においても一七・三%というかなりの高率を示している。