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 昭和42年版 犯罪白書 第一編/第二章/一/1 

第二章 統計からみた昭和四一年の犯罪の概観

一 刑法犯の概況

1 概説

 前章において,戦後における刑法犯の推移をながめたので,ここではまず,昭和四一年における刑法犯について,主要罪名別に,その発生と検挙の状況をみよう。I-8表がそれであるが,このうち,発生件数の罪名別比率を円グラフにすると,I-6図のとおりである。昭和四一年の刑法犯発生件数一,五九〇,六八一件のうち,最も多いのは,窃盗で,全体の六三・〇%を占め,これに次ぐのが,業務上過失致死傷の一八・八%となっている。続いて,詐欺の四・四%,傷害・同致死の三・七%,暴行の二・六%,恐かつの一・七%となっており,殺人,強盗,強かんなどの凶悪犯罪の比率は,きわめて小さい。

I-8表 主要罪名別刑法犯の発生検挙件数と検挙人員(昭和41年)

I-6図 主要罪名別刑法犯発生件数の百分率(昭和41年)

 つぎに,同じ表によって,発生件数と検挙件数との対比,すなわち検挙率をみよう。さきにも触れたとおり,窃盗の検挙率が目だって低く,四八・四%にとどまっている。そのため,業務上過失致死傷,殺人,横領,暴行,強かん・同致死傷の検挙率がいずれも九五%以上であるのに,刑法犯全体の検挙率は,六六・一%となっている。
 つぎに,同じ表の検挙人員の罪名別比率を円グラフにすると,I-7図のとおりである。昭和四一年の刑法犯検挙人員七四〇,〇五五人中,最も多いのが業務上過失致死傷で,総数の四一・七%を占め,窃盗の二四・九%をはるかに上回っている。以前は,刑法犯の検挙人員中最も多いのは,窃盗であり,毎年総数の三〇%以上を占めていたのであるが,昭和三九年以後は,業務上過失致死傷が窃盗をしのぐこととなり,昭和四一年には,業務上過失致死傷が四割をこえるに至っている。

I-7図 主要罪名別刑法犯検挙人員の百分率(昭和41年)

 以下項を改めて,財産犯罪,暴力犯罪,性犯罪,過失犯罪およびその他の刑法犯の別に,最近の状況を述べることにする。