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令和7年版 犯罪白書 第4編/第7章/第2節/3

3 保護観察
(1)保護観察対象者の状況

保護観察開始人員を男女別に見るとともに女性比の推移(最近20年間)を見ると、4-7-2-6図のとおりである。平成17年以降、男性の仮釈放者の人員は、減少傾向にあり、女性の仮釈放者の人員は、若干の増減を経て、25年をピークに翌年以降減少傾向にある。女性比は、29年(12.5%)まで上昇傾向にあったものの、その後は11~13%台で推移している。

男性の保護観察付全部・一部執行猶予者の人員は、平成12年をピークに翌年以降29年まで減少傾向にあったが、30年に保護観察付一部執行猶予者の増加を受けて増加に転じ、令和2年以降減少し続けている。女性の保護観察付全部・一部執行猶予者の人員は、平成12年をピークに翌年以降増減を繰り返し、30年に保護観察付一部執行猶予者の増加を受けて増加した後、令和2年まで500人台で推移していたが、3年以降減少し続けている。女性比は、平成23年以降14~16%台で推移している(CD-ROM参照)。

なお、平成28年以降、男性の仮釈放率は、50~60%台で推移しているのに対し、女性の仮釈放率は70%台で推移している(2-5-2-1図CD-ROM参照)。

4-7-2-6図 保護観察開始人員(男女別)・女性比の推移
4-7-2-6図 保護観察開始人員(男女別)・女性比の推移
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(2)保護観察対象者の処遇

令和6年の保護観察開始人員を罪名別に見ると、仮釈放者及び保護観察付全部・一部執行猶予者のいずれにおいても、窃盗及び覚醒剤取締法違反の構成比の合計が、男性は6割未満であるのに対し、女性は8割近くを占めているところ(CD-ROM資料2-10参照)、保護観察所においては、窃盗事犯者及び薬物事犯者に対する処遇として、以下のような取組を行っている。

嗜(し)癖的な窃盗事犯者に対し、保護観察所は、「窃盗事犯者指導ワークブック」を活用するなどして保護観察を実施している。なお、保護観察所における「嗜癖的な窃盗事犯者」とは、処分の罪名に窃盗が含まれ、かつ、窃盗を繰り返してきた者のうち、所持金があるのに窃盗をした者、窃盗に至った経緯を自覚していなかった者、窃盗に伴う満足感や感情の高揚を得ていた者、ストレス解消のために窃盗をした者など、財物そのものを得ることのみを目的とせずに犯行に及んだ者をいう(第2編第5章第3節2項(7)参照)。

依存物質の使用を反復する傾向を有する者に対し、保護観察所は、薬物再乱用防止プログラム第2編第5章第3節2項(3)参照)を実施しているほか、民間の薬物依存症リハビリテーション施設等に委託し、薬物依存回復訓練同項(6)参照)を実施している。また、法務省及び厚生労働省は、平成27年に策定された「薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイドライン」に基づき、保護観察所と地方公共団体、保健所、精神保健福祉センター、医療機関その他関係機関とが定期的に連絡会議を開催するなどして、地域における支援体制の構築を図っており、例えば精神保健福祉センター等が行う薬物依存からの回復プログラムや薬物依存症リハビリテーション施設等におけるグループミーティング等の支援につなげるなどして、保護観察対象者が保護観察を終了した後も、薬物依存からの回復のための必要な支援を受けることができるようにしている(同項(6)参照)。

嗜癖的窃盗事犯者や薬物事犯者の女性の中には、過去の傷付き体験から、心理的な問題や対人関係の葛藤を抱える者も少なくない。そこで、保護観察所は、処遇の実効性を高めるため、CFPを活用したアセスメントに基づく保護観察第2編第5章第3節2項(1)参照)を実施している。アセスメントの結果、専門医による治療が必要と考えられる保護観察対象者については、必要に応じて精神科医療機関や福祉関係機関との連携を図り、治療を受けさせるなどの支援等を行っている。