逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間において、生活費をどのように得ていたか(重複計上による。)について、男女別に見るとともに、これを65歳未満と65歳以上の年齢別(年齢が不詳であった者を除く。)に見ると、7-5-2-4図のとおりである。65歳未満では、女性受刑者及び男性受刑者のいずれも「自分が働いて得た収入」の該当率が最も高く、次いで、「家族や親族等の収入や仕送り」、「生活保護」の順であった。65歳以上では、女性受刑者は「公的年金」の該当率が最も高く、次いで、「自分が働いて得た収入」、「家族や親族等の収入や仕送り」の順であった。男性受刑者は「自分が働いて得た収入」及び「生活保護」の該当率が最も高く、次いで、「公的年金」の順であった。65歳未満では、女性受刑者は、男性受刑者よりも「家族や親族等の収入や仕送り」及び「生活保護」の該当率が高く、男性受刑者は、女性受刑者よりも「自分が働いて得た収入」の該当率が高かった。65歳以上では、女性受刑者は、男性受刑者よりも「家族や親族等の収入や仕送り」、「公的年金」及び「預貯金」の該当率が高く、男性受刑者は、女性受刑者よりも「生活保護」の該当率が高かった。
逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間において、自分の収入だけで生活できるという感覚がどの程度あったかについて、男女別に見るとともに、これを65歳未満と65歳以上の年齢別に見ると、7-5-2-5図のとおりである。「なかった」の構成比は、65歳未満では、女性受刑者は6割程度であったのに対し、男性受刑者は5割を下回った。65歳以上では、女性受刑者は5割で、男性受刑者は4割程度であった。
逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間における就労状況を男女別に見るとともに、これを65歳未満と65歳以上の年齢別に見ると、7-5-2-6図のとおりである。65歳未満では、女性受刑者は「無職」の構成比が最も高く、次いで、「パートタイム(アルバイトを含む)」、「フルタイム(正社員・正職員)の仕事」の順であった。男性受刑者は「フルタイム(正社員・正職員)の仕事」の構成比が最も高く、次いで、「自営業(手伝いを含む)」、「無職」の順であった。また、男性受刑者は「専業主婦・主夫」の該当がなかった。65歳以上では、女性受刑者は「無職」の構成比が最も高く、次いで、「パートタイム(アルバイトを含む)」、「専業主婦・主夫」の順であった。男性受刑者は「自営業(手伝いを含む)」及び「無職」の構成比が最も高く、次いで、「パートタイム(アルバイトを含む)」の順であった。65歳未満では、女性受刑者は、男性受刑者よりも「パートタイム(アルバイトを含む)」、「専業主婦・主夫」及び「無職」の構成比が高く、男性受刑者は、女性受刑者よりも「フルタイム(正社員・正職員)の仕事」及び「自営業(手伝いを含む)」の構成比が高かった。65歳以上では、女性受刑者は、男性受刑者よりも「専業主婦・主夫」の構成比が高く、男性受刑者は、女性受刑者よりも「自営業(手伝いを含む)」の構成比が高かった。
なお、同図は、本調査において、調査対象者が、逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間における就労状況を振り返り、自ら答えた結果に基づくものである。一方、本章第1節7-5-1-1表の基本的属性等(男女別)中の「就労状況」は、法務省で把握している統計情報(矯正施設職員が、各種資料に基づき、その区分を判断して作成した調査票によるもの)の中の「職業」(犯行時における職業の有無や職業名)に基づくものであることに留意する必要がある。
前記(3)において「失業中」又は「無職」と回答した65歳未満の者について、働いていなかった理由(重複計上による。)を男女別に見ると、7-5-2-7図のとおりである。女性受刑者は「健康上の理由から」の該当率が最も高く、次いで、「子育てや介護等の家庭の事情から」、「どこにも採用されなかったから」の順であった。男性受刑者は「健康上の理由から」の該当率が最も高く、次いで、「働くのが嫌だったから」、「特にやりたいことがなかったから」及び「人間関係がうまくいかなかったから」の順であった。女性受刑者は、男性受刑者よりも「健康上の理由から」の該当率が高く、男性受刑者は、女性受刑者よりも「特にやりたいことがなかったから」、「希望する業種、職種での採用がなかったから」、「人間関係がうまくいかなかったから」及び「働くのが嫌だったから」の該当率が高かった。
逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間において、治療や投薬を受けていた慢性疾患の有無を男女別に見ると、7-5-2-8図のとおりである。なお、質問紙には、慢性疾患の例として「糖尿病、高血圧、ガンなどの身体の病気」を挙げ、「慢性疾患とは、病気の経過が半年ないし1年以上にわたる疾患のことです。」と注意書きを付した上で回答を求めた。慢性疾患「あり」の構成比は、女性受刑者が約4割であったのに対し、男性受刑者は約3割であった。
逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間において、治療や投薬を受けていた精神疾患の有無を男女別に見ると、7-5-2-9図のとおりである。なお、質問紙には「精神疾患とは、気分の落ち込みや幻覚・妄想など、心身に様々な影響が出る疾患のことです。」と注意書きを付した上で回答を求めた。精神疾患「あり」の構成比は、女性受刑者は5割を超えていたのに対し、男性受刑者は2割程度であった。
前記(6)において精神疾患「あり」と回答した者について、精神疾患の病名(重複計上による。)を男女別に見ると、7-5-2-10図のとおりである。なお、「病名はわからない」に該当する者は、同項目に当てはまる旨回答した者であり、回答自体が不詳の者とは異なる。女性受刑者は「うつ病・双極性障害(躁うつ病)」の該当率が最も高く、次いで、「不安障害(パニック障害など)」、「依存症(薬物・アルコール・ギャンブルなど)」の順であった。男性受刑者は「うつ病・双極性障害(躁うつ病)」の該当率が最も高く、次いで、「依存症(薬物・アルコール・ギャンブルなど)」、「統合失調症」の順であった。また、女性受刑者は、男性受刑者よりも「うつ病・双極性障害(躁うつ病)」、「不安障害(パニック障害など)」、「摂食障害」及び「パーソナリティ障害」の該当率が高かった。