逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間において、一緒に暮らしていた者(重複計上による。)について男女別に見ると、7-5-2-11図のとおりである。女性受刑者は「配偶者(内縁関係や事実婚を含む)や交際相手」の該当率が最も高く、次いで、「子(内縁関係や事実婚の配偶者の連れ子を含む)」、「いない(一人暮らし)」の順であった。男性受刑者は「いない(一人暮らし)」の該当率が最も高く、次いで、「配偶者(内縁関係や事実婚を含む)や交際相手」、「親族(父、母、兄弟姉妹)」の順であった。女性受刑者は、男性受刑者よりも「配偶者(内縁関係や事実婚を含む)や交際相手」及び「子(内縁関係や事実婚の配偶者の連れ子を含む)」の該当率が高く、男性受刑者は、女性受刑者よりも「いない(一人暮らし)」及び「親族(父、母、兄弟姉妹)」の該当率が高かった。
7-5-2-12図は、逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間において、どのくらいの頻度で孤独を感じていたかを男女別に見たものである。孤独という主観的な感情を間接質問により数値的に測定するために考案された「UCLA孤独感尺度」(Russell DW、1996)の日本語版(舛田他、2012)の3項目短縮版(Arimoto A & Tadaka E、2019)に基づくもので、「あなたは、自分には人とのつきあいがないと感じることがありましたか。」、「あなたは、自分は取り残されていると感じることがありましたか。」、「あなたは、自分が他の人たちから孤立していると感じることがありましたか。」の3項目に関して、「決してなかった」、「ほとんどなかった」、「時々あった」、「常にあった」の4件法で回答を求めた上で、回答の結果について、「決してなかった」を1点、「ほとんどなかった」を2点、「時々あった」を3点、「常にあった」を4点としてスコア化した後、「10~12点(常にあった)」、「7~9点(時々あった)」、「4~6点(ほとんどなかった)」、「3点(決してなかった)」の4カテゴリーに統合した。女性受刑者及び男性受刑者のいずれも「7~9点(時々あった)」、「4~6点(ほとんどなかった)」の順に構成比が高い点は共通しているが、女性受刑者は、次いで、「10~12点(常にあった)」の構成比が高いのに対し、男性受刑者は、次いで、「3点(決してなかった)」の構成比が高かった。また、男性受刑者は、女性受刑者よりも「3点(決してなかった)」の構成比が高かった。
逮捕などで身柄を拘束される直前の1年間に悩んだり不安に思ったりしていた内容(※注)として、「特に悩んだり困ったりしていない」以外の項目を選択した者について、当時、悩みや不安が生じた場合の相談の有無を男女別に見ると、7-5-2-13図のとおりである。女性受刑者は、男性受刑者よりも「相談した」の構成比が高かった。
※注 16項目(「経済的なこと」、「仕事のこと」、「健康上のこと」、「妊娠や出産のこと」、「育児のこと」、「介護のこと」、「人間関係(配偶者(内縁関係や事実婚を含む)、交際相手)」、「人間関係(親、兄弟姉妹)」、「人間関係(子)」、「人間関係(友人・知人)」、「犯罪行為をしていること」、「これまでに受けた保護処分や刑事処分のこと」、「家族から受けた暴力等の被害のこと」、「犯罪の被害に遭ったこと」、「その他」、「特に悩んだり困ったりしていない」)のうち該当するもの全てを選択するように回答を求めた(重複計上による。)ものである(7-5-3-11図<1>参照)。
前記(3)において「相談した」と回答した者について、悩みや不安を相談した相手(機関・団体含む、重複計上による。)を男女別に見ると、7-5-2-14図のとおりである。女性受刑者は「家族または親族」の該当率が最も高く、次いで、「友人または知人」、「病院」の順であった。男性受刑者は「友人または知人」の該当率が最も高く、次いで、「家族または親族」、「交際相手」の順であった。女性受刑者及び男性受刑者のいずれも「家族または親族」及び「友人または知人」の該当率が高く、それぞれ5割を超えていたのに対し、「行政機関」の該当率は1割程度であり、「自治会・町内会・近所の人」及び「NPO等の民間団体またはボランティア団体」の該当率はそれぞれ1割以下であった。女性受刑者は、男性受刑者よりも「病院」の該当率が高く、男性受刑者は、女性受刑者よりも「学校や職場の関係者」の該当率が高かった。
支援機関等(国や自治体、民間団体やボランティア、病院等)への相談に対する考え(出所後社会に戻ったとき、どのような状況であれば相談する気になるか)(重複計上による。)を男女別に見ると7-5-2-15図のとおりである。女性受刑者は「家族や交際相手などの大事な人が理解・協力してくれれば」の該当率が最も高く、次いで、「専門的な助言をもらえれば」、「刑務所や保護観察所等から具体的な支援機関の場所、連絡先、支援内容などを教えてもらえれば」の順であった。男性受刑者は「自分の力では問題を改善できないと感じれば」の該当率が最も高く、次いで、「家族や交際相手などの大事な人が理解・協力してくれれば」、「専門的な助言をもらえれば」の順であった。女性受刑者は、男性受刑者よりも「家族や交際相手などの大事な人が理解・協力してくれれば」及び「誰かに一緒に行ってもらえれば」の該当率が高く、男性受刑者は、女性受刑者よりも「自分の信頼する友人・知人から紹介してもらえれば」、「お金に余裕ができれば」、「時間に余裕ができれば」及び「どんな状況でも支援は受けない」の該当率が高かった。