この項では、少年の意識の変化について、その一例として、一部令和4年版犯罪白書(第8編第4章第5節)からの再掲となるが、少年鑑別所入所者を対象とした調査の結果のうち、特徴的な傾向について紹介する。
ただし、あくまでも(審判を目前に控えた)少年鑑別所入所中の少年の主観による回答であることに留意する必要がある。
家庭生活に対する満足度を調査年別(平成2年調査、10年調査、17年調査、23年調査及び令和3年調査の別。以下この項において同じ。)に見ると、7-4-3-5図のとおりである。「満足」の構成比は、平成10年調査以降一貫して上昇しており、令和3年調査では、8割近くに達した。「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比は、いずれも一貫して低下している。
7-4-3-6図は、家庭生活を「不満」とする者の理由についての該当率(重複計上による。)を調査年別に見たものである。「家庭に収入が少ない」の該当率は、平成10年調査以降上昇し、23年調査では、47.0%であったが、令和3年調査では、11.1%に低下した。一方、「親が自分を理解してくれない」は、平成10年調査以降低下し続け、23年調査では、42.2%であったが、令和3年調査では、55.6%に上昇した。
7-4-3-7図は、家族との関係に関する各項目について、「ある」(「よくある」又は「ときどきある」)と回答した者の該当率を調査年別に見たものである。「家族との話を楽しいと感じる」の該当率は、令和3年調査が最も高く、91.3%であった。一方、「自分が何をしていても、親があまり気にしていないと感じる」、「親がきびしすぎると感じる」、「親のいうことは、気まぐれであると感じる」及び「親が自分のいいなりになりすぎると感じる」の該当率は、同調査が最も低かった。
社会に対する満足度を調査年別に見ると、7-4-3-8図のとおりである。平成10年調査では、「満足」の構成比が低下し、「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比がいずれも上昇したが、その後の調査においては、「満足」の構成比が一貫して上昇しており(令和3年調査では42.9%)、「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比がいずれも一貫して低下している。
7-4-3-9図は、社会を「不満」とする者の理由についての該当率(重複計上による。)を調査年別に見たものである。令和3年調査では、「金持ちと貧乏な人との差が大きすぎる」及び「若者の意見が反映されない」の該当率(それぞれ55.9%)が最も高かったが、平成23年調査と比べると、「若者の意見が反映されない」を除く全ての項目で該当率が低下した。