前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

令和5年版 犯罪白書 第7編/第3章

第3章 少年を取り巻く生育環境及び生活状況の変化

この章では、各種統計資料等に基づき、少年を取り巻く生育環境や生活状況の変化について概観する。

7-3-1図は、人口の推移(最近30年間)を年齢層別に見たものである。少子高齢化が進行し、平成5年から令和4年までの間に、19歳以下の人口は33.5%、20歳代の人口は30.7%、それぞれ減少した。その一方で、65歳以上の高齢者の人口が約2.1倍に増加しており、このような年齢層別人口の大きな変化は、この章で概観する少年の生育環境及び生活状況にも影響を及ぼすことが考えられる。

7-3-1図 人口の推移(年齢層別)
7-3-1図 人口の推移(年齢層別)
Excel形式のファイルはこちら

7-3-2図は、平均世帯人員及び児童の有無別世帯数の推移(最近30年間)を見たものである。令和4年の全国の世帯総数は約5,431万世帯であり、平成5年の約1.3倍に増加している一方、平均世帯人員は、減少傾向にある(令和4年は2.25人)。また、児童のいる世帯は、平成5年には全世帯の34.9%であったところ、令和4年には全世帯の18.3%まで低下した。

7-3-2図 平均世帯人員・児童の有無別世帯数の推移
7-3-2図 平均世帯人員・児童の有無別世帯数の推移
Excel形式のファイルはこちら

7-3-3図は、婚姻(初婚・再婚)、離婚件数及び再婚の割合の推移(平成5年以降)を見たものである。5年に17.4%であった婚姻件数に占める再婚件数の割合は、毎年上昇していたが、17年に25%を超え、それ以降は25~26%台で推移している。また、5年に18万組台であった離婚件数は、14年(28万9,836組)をピークとして、その後は減少傾向にあり、令和3年には再び18万組台まで減少した。

7-3-3図 婚姻(初婚・再婚)・離婚件数、再婚の割合の推移
7-3-3図 婚姻(初婚・再婚)・離婚件数、再婚の割合の推移
Excel形式のファイルはこちら

7-3-4図は、親が離婚した20歳未満の未婚の子の数の推移(平成12年以降)を見たものである。14年(29万9,525人(20歳未満人口比12.0%))をピークとして、その後は減少傾向にあり、令和3年は18万3,228人(20歳未満人口比9.1%)であった。

7-3-4図 親が離婚した20歳未満の未婚の子の数の推移
7-3-4図 親が離婚した20歳未満の未婚の子の数の推移
Excel形式のファイルはこちら

7-3-5図は、児童虐待の内容別相談対応件数の推移(平成21年度以降)を見たものである。児童虐待の相談対応件数は、統計を取り始めた2年度から増加し続けており、令和3年度も過去最高を記録し、20万7,660件となった(厚生労働省子ども家庭局(当時)の資料による。)。内容別では、心理的虐待(3年度は12万4,724件)が、平成21年度の約12.1倍であり、身体的虐待(令和3年度は4万9,241件)が、平成21年度の約2.8倍であった。

ただし、この数値は、相談対応件数であり、児童虐待の件数そのものが増加していることを直接的に示すものではないことに留意する必要がある。

7-3-5図 児童虐待の内容別相談対応件数の推移
7-3-5図 児童虐待の内容別相談対応件数の推移
Excel形式のファイルはこちら

7-3-6図は、高等学校における中途退学者数及び中途退学率の推移(平成5年度以降)を見たものである。中途退学者数については、13年度以降減少傾向にあり、中途退学率については、14年度以降低下傾向にあり、令和2年度には、中途退学者数3万4,965人、中途退学率1.1%といずれも調査開始以来最低を記録したが、3年度はやや増加・上昇し、中途退学者数3万8,928人、中途退学率1.2%であった。

7-3-6図 高等学校 中途退学者数及び中途退学率の推移
7-3-6図 高等学校 中途退学者数及び中途退学率の推移
Excel形式のファイルはこちら

7-3-7図は、通信制高等学校の生徒数の推移(最近30年間)を見たものである。公立の通信制高等学校の生徒数は、平成13年度(10万9,686人)をピークとして、その後は減少傾向にあり、令和4年度はピーク時の約半数(5万4,621人)であった。一方、私立の通信制高等学校の生徒数は、平成8年度(5万7,762人)から毎年増加し続けており、令和4年度は、平成5年度以降最多の18万3,646人であった。通信制高等学校の生徒数全体は、令和4年度は23万8,267人であり、平成5年度(15万7,003人)の約1.5倍であった。

7-3-7図 通信制高等学校の生徒数の推移
7-3-7図 通信制高等学校の生徒数の推移
Excel形式のファイルはこちら

7-3-8図は、15歳以上19歳以下の完全失業率(労働力人口(就業者と完全失業者(仕事をしておらず、仕事があればすぐ就くことができる者で、調査時に仕事を探す活動等をしていた者)の合計)に占める完全失業者の比率)の推移(最近30年間)を見たものである。平成15年以降、低下傾向を示し、リーマンショック後の21・22年は上昇したが、その後、再び低下傾向にあり、28年以降は5%以下で推移している(令和4年は2.8%)。

7-3-8図 15歳以上19歳以下の完全失業率の推移
7-3-8図 15歳以上19歳以下の完全失業率の推移
Excel形式のファイルはこちら

7-3-9図は、13歳から19歳までの者について、テレビ・インターネットの平日の視聴・利用時間(調査日1日当たりの調査対象者のテレビ(リアルタイム)視聴時間の合計、インターネット利用時間の合計をそれぞれ調査対象者数で除した時間)及び行為者率(調査日2日間の1日ごとに、調査対象者に占めるテレビ(リアルタイム)視聴又はインターネット利用を行った者の比率を求めた上で、それを平均した比率)の推移(平成24年度以降)を見たものである。27年度まで70%を超えていたテレビ行為者率は、令和4年度は50.7%まで低下しており、テレビ視聴時間も、平成24年度の102.9時間から大幅に減少した(令和4年度は46.0時間)。一方、インターネット行為者率は、平成30年度までは70~80%台で推移していたが、令和元年度以降90%を超えている。インターネット利用時間は、2年度に224.2時間(前年度比33.5%増)と大幅に増加したが、4年度は減少した(195.0時間)。ただし、利用時間等の推移については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向の可能性があることに留意する必要がある。

7-3-9図 テレビ・インターネット 平日の視聴・利用時間及び行為者率の推移
7-3-9図 テレビ・インターネット 平日の視聴・利用時間及び行為者率の推移
Excel形式のファイルはこちら