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令和5年版 犯罪白書 第2編/第6章/第5節/1

第5節 刑事司法分野における国際研修・法制度整備支援等
1 国連アジア極東犯罪防止研修所における協力

国連アジア極東犯罪防止研修所UNAFEI:United Nations Asia and Far East Institute for the Prevention of Crime and the Treatment of Offenders)は、日本国政府と国連の協定に基づき、昭和37年(1962年)に設置された国連の地域研修所で、現在では、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)を中核とする国連犯罪防止・刑事司法プログラム・ネットワーク機関(PNI:The United Nations Crime Prevention and Criminal Justice Programme Network of Institutes)の一つであり、法務総合研究所国際連合研修協力部により運営されている。UNAFEIは、刑事司法分野における研修、研究及び調査を実施することにより、世界各国の刑事司法の健全な発展と相互協力の強化に努めており、その活動は「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の実現に寄与している。

UNAFEIは、その主要な活動として、世界中の開発途上国の警察官、検察官、裁判官、矯正職員、保護観察官等を対象とした国際研修を毎年実施している。具体的には、刑事司法や犯罪者処遇分野の実務家を対象とした国際研修、政策形成に関与する高官を対象とした国際高官セミナー及び汚職犯罪対策に特化した「汚職防止刑事司法支援研修」である。また、世界各国や国連等の要請を受け、特定の地域や国を対象とする研修や共同研究等も行っており、現在は、東南アジア諸国のためのグッドガバナンスに関する地域セミナー、仏語圏アフリカ諸国を対象とした刑事司法研修及びカンボジア、ネパール、東ティモール、フィリピン、ベトナム等の刑事司法関係機関を対象とした研修・共同研究等を実施している。令和2年(2020年)からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、対面での研修・セミナーの実施が困難な時期が続き、オンライン会議システムに頼らざるを得なかったが、令和3年度(2021年度)からは、段階的に対面での研修の実施を再開した。

これまで、UNAFEIの研修には、日本を含めて143の国・地域から、6,300人以上の刑事司法関係者(日本人を含む。)が参加している(令和5年(2023年)3月現在)。

また、UNAFEIは、PNIの一員として、毎回コミッションやコングレス(本章第1節参照)に出席するとともに、他のPNIとも緊密な連携を取りながら、犯罪防止や刑事司法に関する国連の政策の立案・実施に協力しており、令和4年度(2022年度)には、再犯防止のためのPNI専門家会合を主催した。

UNAFEIは、京都コングレスにおいて採択された京都宣言の内容、特に再犯防止施策の推進に向けた取組を積極的に実施しており、令和3年度(2021年度)から、新たな二つの研修を始めている。一つは、「包摂的な社会に向けた再犯者、児童・女性等を含む弱者に対する刑事司法的対処」をテーマとした国際研修であり、もう一つは、日本の大学生や大学院生、海外からの留学生を対象とした「ユース国際研修」である。また、同年度及び令和4年度(2022年度)には、再犯防止の国連準則策定に向けた国連主催の専門家会合にも出席した。