我が国による法制度整備支援は、その多くが政府開発援助（ODA）の枠組みで、法務省、外務省、最高裁判所、独立行政法人国際協力機構（JICA）や学識経験者等の関係者の協力により行われてきた。法務省は、平成13年（2001年）、これを所管する部署として法務総合研究所内に国際協力部（ICD：International Cooperation Department）を設置し、JICAプロジェクトへの専門家派遣、現地セミナーや支援対象国関係者の本邦における研修等の実施を通じ、支援対象国の実情を踏まえ、基本法令の起草、法律実務の運用改善、法律実務家の人材育成等の支援活動を活発に展開している。我が国は、平成6年（1994年）にベトナムに対する支援を開始して以来、カンボジア、ラオス、インドネシア、ウズベキスタン、モンゴル、中国、東ティモール、ネパール、ミャンマー、バングラデシュ等のアジア諸国に対して支援を行ってきている。支援に係る法律分野は、民商事法分野を中心としているが、近時は支援対象国の要請に基づいて刑事法分野及び行政法分野の支援も行っており、支援は多様化している。

また、法務総合研究所は、近年、複数の国の研究機関等との間で協力覚書を交換しており、ラオス国立司法研修所（平成30年（2018年）12月）、ウズベキスタン最高検察庁アカデミー（令和元年（2019年）7月）、カンボジア王立司法学院（令和2年（2020年）1月）、モンゴル国立法律研究所（令和3年（2021年）8月）等との間でそれぞれ協力覚書を交換し、ICDが中心となり、同覚書に基づく共同研究活動を積極的に実施している。

さらに、共通の課題について複数国で共に学ぶという視点から、令和5年（2022年）3月には、ICDは、法務総合研究所研究部と協力し、モンゴルとウズベキスタンを対象とした司法統計を題材とする共同研究を実施した。