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1 少年調査 家庭裁判所は,受理した少年について,各種の方法によって環境や資質の調査を行ない,適当と認められる処分を行なうこととなっているが,右の調査にあたるものとして,家庭裁判所に家庭裁判所調査官があり,また法務省所管のものとして少年鑑別所がある。少年鑑別所の機能や活動状況については,別に少年鑑別所の項で詳細に述べるので,ここでは,家庭裁判所の審判のための心身の鑑別が,最近どの程度に行なわれているかをみるにとどめよう。III-51表は,最近五年間に終局決定のあった道交違反事件以外の一般少年保護事件について,心身鑑別の有無および心身鑑別を行なった機関の内訳を示すものである。心身鑑別が行なわれた者の総数は,年によって多少の変動はあるが,終局決定総数のおおよそ一八%前後にすぎない。鑑別を行なっている機関の中では少年鑑別所が最も多く,鑑別を行なった総数の七〇%ないし八六%を占めている。
III-51表 心身鑑別の有無別人員(昭和35〜39年) つぎに,家庭裁判所は,少年に対し,どのような保護処分が適当であるかを決定するため必要があると認めるときは,相当の期間,少年を家庭裁判所調査官の観察に付し,場合によっては,一定の補導措置を講じながらその反応をみて,少年の個性や環境の特性を見きわめることができるようになっている(少年法第二五条)。これが試験観察の制度である。このような試験観察に付された少年の数は,III-52表にみるように,受理総数の一〜三%である。これを道交違反事件とそれ以外の一般事件とに分けてみると,昭和三九年において,道交違反事件では,受理人員数の二・七%,一般事件では,受理人員数の五・二%となっているが,いずれの事件においても,試験観察人員がその実数および割合において,累年増加していることは注目される。 III-52表 試験観察人員(昭和35〜39年) 試験観察の内容についてみると,昭和三九年の試験観察決定総数三四,〇一五人のうち,適当な施設,団体または個人に補導委託の措置をとったものが三〇・四%であり,遵守事項を定めてその履行を命ずるとか,条件をつけて保護者に引き渡したりする措置をとったものが六九・六%となっている。試験観察の期間を,昭和三九年に試験観察が終了した事件につき,道交違反事件とそれ以外の一般事件とに分けてみると,III-53表の示すとおり,一般事件では,六月以内に終了したものが六八・〇%であり,道交違反では,六月以内に終了したものが九二・一%となっているが,他面,全事件を通じて,一年をこえるものが八三七人におよんでいることは注目される。 III-53表 試験観察の期間(昭和39年) 試験観察が行なわれたのちの終局決定の区分を昭和三九年についてみると,III-54表のとおりで,これによると,保護処分に付された者は,終局決定総数の一二・六%にすぎず,不開始,不処分が八三・七%を占めていることがわかる。さらにこれを一般保護事件と道路交通保護事件とに分けてみると,一般保護事件で保護処分に付された者が三二・九%,不開始,不処分が六四・三%となっており,道路交通保護事件では,保護処分に付された者はわずか一・二%にすぎず,不開始,不処分が九四・五%を占めている。III-54表 試験観察を経た少年の終局区分別人員(昭和39年) |