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非行のある少年について審判を行なうこと,すなわち,非行少年を保護処分にするか,あるいは刑事処分にするか,また,保護処分にするとして,どのような保護処分にするか,さらにまた,右のいずれの処分にも付さないこととするかなどを決定することおよび審判のための調査を行なうことは,現行法上家庭裁判所の権限に属する。
ところで,家庭裁判所で審判の対象となる少年は,前述したように(一九三頁参照),二〇歳未満の犯罪少年,触法少年およびぐ犯少年である。対象少年の年令の下限は,原則として一四歳であるが,触法少年と一四歳未満のぐ犯少年とは,都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときにかぎって家庭裁判所の審判の対象となる(少年法第三条第二項)。また,年令の上限は,原則として二〇歳であるが,家庭裁判所で保護観察に付する旨の決定をうけた少年について,新たに少年法第三条第一項第三号に掲げるぐ犯事由があると認められる場合には,その者が二〇歳以上である場合においても,保護観察所長の通告によって審判の対象となるという例外が認められている(犯罪者予防更生法第四二条)。また,「準少年保護事件」とよばれる少年法第二七条の二による保護処分取消事件や,少年院法第一一条による収容継続申請事件および犯罪者予防更生法によるもどし収容申請事件においても,二〇歳以上の者が審判の対象となることがある。司法統計年報によると,昭和三九年における準少年保護事件の既済人員は四五〇人で,その内訳は,保護処分取消申請が七人(一・五%),収容継続申請が三七二人(八二・七%),もどし収容申請が七一人(一五・八%)となっているが,総数の九三・一%が認容されている。 そこでまず,最近五年間における全国家庭裁判所の少年保護事件の受理人員総数の推移を行為別にみると,III-49表のとおりである。これによると,受理総数は,昭和三五年以降増加のすう勢にあり,昭和三九年における受理総数は,昭和三五年の約一・三倍となっている。また,昭和三九年における受理総数一,〇四五,二八四人を,刑法犯,道交違反を除く特別法犯および道交違反ならびにぐ犯の四つに分け,その内訳をみると,刑法犯は一九・七%,特別法犯は二・四%,ぐ犯は〇・九%で,道交違反が七七・〇%を占めている。 III-49表 家庭裁判所における少年保護新受事件の受理人員(昭和35〜39年) つぎに,昭和三九年における受理総数を事件受理の経路別にみると,III-50表のとおりで,これによると,受理総数一,〇四五,二八四人のうち,司法警察員から直接送致されたものが二四・四%,検察官から送致されたものが七〇・一%,他の家庭裁判所から移送または回付されたものが五・二%で,都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたものや,一般人または保護観察所長からの通告あるいは家庭裁判所調査官の報告などによるものは〇・三%にすぎない。III-50表 少年保護事件の家庭裁判所受理経路別人員(昭和39年) |