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 昭和41年版 犯罪白書 第三編/第一章/二 

二 少年犯罪の動向をめぐる問題

 警察で検挙され,または補導された非行少年の数は,上述のように,戦後激増し,昭和四〇年には,二,三六八,八八三人(もちろんこれは延人員数である。)に達している。もし,これらの非行少年のほかに,非行が表ざたにならなかったいわゆる潜在非行の事実や,非行化への危険をはらんでいる多数の長欠児童,生徒(昭和四〇年の文部省の調査によれば,全国の公立小,中学校で,年間五十日以上長期欠席した児童,生徒は一〇七,一〇七人である。)の事実を考え合わせれば,単に人数という点から考えても,非行少年問題は重大であるといわなければならない。
 このように,非行少年の増加は,数的にいっても憂慮にたえないものであるが,以下には,少年犯罪について多少の分析的考察を加え,少年犯罪の背景的事実の面における問題点を中心に,その動向を検討してみようと思う。