前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和41年版 犯罪白書 第一編/第二章/四 

四 外国人犯罪

 外国人登録法に基づく外国人の登録人員数を,法務省入国管理局の統計によってみると,I-51表の示すとおりであって,昭和四〇年一二月三一日現在において六六五,九八九人である。そして,外国の外交官その他,外国人登録法による登録の対象とならない外国人の数を含めた場合,常時わが国にいる外国人の数は七〇数万人と推定される。

I-51表 外国人登録国籍別人員(昭和40年12月31日現在)

 最近五年間における外国人犯罪のすう勢を検察庁の通常受理人員によってみると,I-52表のとおりである。まず総数についてみると,昭和三五年の八七,七二六人から昭和四〇年には一〇四,二三一人と大幅に増加しているが,これは主として道交違反の増加(これは外国人についてのみの現象ではなく,日本人一般についても同様である。)によるものであって,日本人を含めた全被疑者数に対する割合では,昭和三五年の二・六%から昭和四〇年には一・九%となっており,減少傾向にある。つぎに,刑法犯および特別法犯のそれぞれについてみると,刑法犯は,昭和三八年まで実数も全被疑者数に対する割合もともに減少傾向にあったが,昭和三九年の実数は増加している。しかし,全被疑者数に対する割合は減少しており,特別法犯においては,昭和三八年以後,実数も全被疑者数に対する割合もともに減少しており,これらを総合すれば,外国人犯罪は,大勢としては,減少の傾向を示しているとみてさしつかえないと思われる。

I-52表 外国人犯罪の検察庁受理人員(昭和35〜39年)

 つぎに,昭和三九年における検察庁の新受人員について,罪名別に,全被疑者数に対する割合をみると,刑法犯は,総数において三・〇%であるのに対し,破物関係が例年同様九・六%という高率を示し,これについで,傷害が七・〇%,恐かつが六・〇%,強盗致死傷・強盗強かんが五・一%,公務執行妨害が四・八%,とばく・富くじが四・〇%と総数の比率をかなり上回る比率を示している。また,特別法犯は,総数において一・七%を占めているのに対し.道交違反等若干のものを除いては,いずれも全被疑者数中外国人被疑者の占める割合は相当高い。このうち,外国人登録法および出入国管理令の各違反において,その九三・五%ないし一〇〇%が外国人によって占められていることは,法令の規制内容の性質上当然であり,また,外国為替および外国貿易管理法違反において一七・〇%,関税法違反において二三・%という高率を示すことも一応うなずけるが,たばこ専売法違反において二六・六%,酒税法違反において八・三%という高率を示していることは注目すべきであろう。