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2 財産犯罪 ここで財産犯罪とは,窃盗,詐欺,横領,賍物および背任をいう。このほか,強盗と恐かつも,財産犯罪に属するものではあるが,それらは,他面,暴力事犯としての性格をも有するものであるから,強盗および恐かつについては,暴力犯罪の項で述べることとする。
昭和三五年から四〇年までの財産犯罪の発生件数の推移に,I-6表のとおりである。すなわち,窃盗は,昭和三八年までは逐年増加の傾向にあったが,翌三九年以後減少の傾向があらわれている。これに対して,昭和三八年まで減少傾向にあった詐欺は,翌三九年以後やや増加傾向を示しているのが目だつ。また,横領と賍物は,おおむね減少傾向にあるといってよく,昭和三五年を一〇〇とする昭和四〇年の指数をみると,横領は六七,賍物は六八となっており,かなり大幅に減少したといえよう。背任は,その実数が少ないので,明確な傾向をとらえにくいが,おおむね横ばい状況にあるとみてよいであろうか。 I-6表 財産犯罪発生件数(昭和35〜40年) つぎに,検挙人員の推移は,I-7表のとおりである。これによると,詐欺,横領,賍物は,昭和三九年を例外としておおむね減少傾向にあるといえるが,窃盗は,これらと異なり,決して減少傾向にあるとはいえず,横ばいないしは増加傾向さえみられるというべきであろう。背任は,発生件数と同様,その実数が少ないので,年により多少の増減はあるものの,ほぼ横ばい状況にあるとみてよいであろう。I-7表 財産犯罪検挙人員(昭和35〜40年) つぎに,成人と少年とに分けて,財産犯検挙人員の推移を一べつすることにする。まず,I-8表によれば,少年の窃盗と賍物の検挙人員は,逐年かなりの増加傾向を示していたが,昭和四〇年においてはいずれも,わずかではあるが,はじめて減少しているのが目につき,また,少年の詐欺と横領の検挙人員は,ここ数年間減少傾向にあるといってよい。I-8表 少年の主要財産犯検挙人員(昭和35〜40年) つぎに,成人の方は,昭和三九年に,窃盗,詐欺,横領がわずかに増加したのを例外として,ここ数年間,明らかに減少傾向にあり,とくに賍物が半減しているのが目につく。I-9表 成人の主要財産犯検挙人員(昭和35〜40年) |