前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

令和4年版 犯罪白書 第8編/第4章/第4節/1

1 周囲の環境に対する意識

家庭生活に対する満足度を対象者(刑事施設入所者及び保護観察対象者(20歳以上の者)をいう。以下この節において同じ。)の犯罪の進度別に見ると、8-4-4-1図のとおりである。「満足」の構成比は、対象者全体では52.1%であり、初入者(59.3%)が再入者(44.8%)より高かった。また、「不満」の構成比は、対象者全体では13.6%であり、再入者(17.3%)が初入者(10.7%)より高かった。

8-4-4-1図 犯罪者 家庭生活に対する満足度(初入者・再入者別)
8-4-4-1図 犯罪者 家庭生活に対する満足度(初入者・再入者別)
Excel形式のファイルはこちら

家庭生活を「不満」とする者の理由(本章第2節1項の*1参照)のうち、上位3項目を見ると、対象者全体では、「家庭に収入が少ない」(46.2%)の該当率が最も高く、次いで、「親が自分を理解してくれない」(16.9%)、「家庭内に争いごとがある」及び「家の周囲の環境が悪い」(それぞれ15.4%)の順であった。犯罪の進度別に見ると、「親が自分を理解してくれない」、「家庭内に争いごとがある」及び「家の周囲の環境が悪い」の該当率は、初入者(それぞれ20.5%、20.5%、18.2%)が再入者(それぞれ13.8%、12.5%、13.8%)より高かった。


友人関係に対する満足度を犯罪の進度別に見ると、8-4-4-2図のとおりである。「満足」の構成比は、対象者全体では48.0%であり、初入者(53.6%)が再入者(41.4%)より高かった。「不満」の構成比は、対象者全体では10.5%であり、再入者(12.9%)が初入者(9.1%)より高かった。

8-4-4-2図 犯罪者 友人関係に対する満足度(初入者・再入者別)
8-4-4-2図 犯罪者 友人関係に対する満足度(初入者・再入者別)
Excel形式のファイルはこちら

対象者が日常的に接している家族や友達等を含む周囲の人々をどのように評価しているかなど周囲の人々との関係を見るため、「悩みを打ち明けられる人」の該当率を犯罪の進度別に見ると、8-4-4-3図のとおりである。対象者全体では、「同性の友達」(39.6%)の該当率が最も高く、次いで、「配偶者」(25.7%)、「母親」(25.5%)の順であった。初入者は、「同性の友達」(43.7%)の該当率が最も高く、次いで、「母親」(29.9%)、「配偶者」(24.2%)の順であった。再入者は、「同性の友達」(36.0%)が最も高く、次いで、「配偶者」(29.8%)、「母親」(20.8%)の順であった。

8-4-4-3図 犯罪者 悩みを打ち明けられる人(初入者・再入者別)
8-4-4-3図 犯罪者 悩みを打ち明けられる人(初入者・再入者別)
Excel形式のファイルはこちら

対象者の学校生活に対する意識を見るため、「学校に行くのがいやだった」及び「同級生から理解されていた」の項目について、「あてはまる」及び「あてはまらない」の構成比を犯罪の進度別に見ると、8-4-4-4図のとおりである。「学校に行くのがいやだった」の項目について「あてはまる」に該当する者の構成比は、対象者全体では44.4%であった。犯罪の進度別では、初入者(45.0%)と再入者(44.7%)で顕著な差が見られなかった。一方、「同級生から理解されていた」の項目について「あてはまる」に該当する者の構成比は、対象者全体では58.4%であり、初入者(62.9%)が再入者(53.3%)より高かった。

8-4-4-4図 犯罪者 学校生活に対する意識(初入者・再入者別)
8-4-4-4図 犯罪者 学校生活に対する意識(初入者・再入者別)
Excel形式のファイルはこちら

対象者の就労に対する意識を見るため、「汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事がしたい」及び「仕事について夢や目標を持っている」の項目について、「そう思う」及び「そう思わない」の構成比を犯罪の進度別に見ると、8-4-4-5図のとおりである。「汗水流して働くより、楽に金を稼げる仕事がしたい」の項目について「そう思う」に該当する者の構成比は、対象者全体では41.7%であり、初入者(41.2%)と再入者(43.8%)で顕著な差が見られなかった。なお、刑事施設への入所度数なしの保護観察対象者(20歳以上の者)は、初入者及び再入者と比較して「そう思う」に該当する者の構成比(31.3%)が顕著に低かった(CD-ROM参照)。「仕事について夢や目標を持っている」の項目について「そう思う」に該当する者の構成比は、対象者全体では73.3%であり、初入者(74.0%)と再入者(73.0%)で顕著な差が見られなかった。

8-4-4-5図 犯罪者 就労に対する意識(初入者・再入者別)
8-4-4-5図 犯罪者 就労に対する意識(初入者・再入者別)
Excel形式のファイルはこちら

対象者の地域社会に対する意識を見るため、「地域のお祭りなど行事にはよく参加した」及び「地域の人は、困ったときに力になってくれる」の項目について、「あてはまる」及び「あてはまらない」の構成比を犯罪の進度別に見ると、8-4-4-6図のとおりである。「地域のお祭りなど行事にはよく参加した」の項目について「あてはまる」に該当する者の構成比は、対象者全体では47.7%であり、初入者(50.7%)が再入者(44.6%)より高かった。「地域の人は、困ったときに力になってくれる」の項目について「あてはまる」に該当する者の構成比は、対象者全体では32.3%であり、初入者(32.5%)と再入者(32.0%)で顕著な差が見られなかった。

8-4-4-6図 犯罪者 地域社会に対する意識(初入者・再入者別)
8-4-4-6図 犯罪者 地域社会に対する意識(初入者・再入者別)
Excel形式のファイルはこちら

社会に対する満足度を犯罪の進度別に見ると、8-4-4-7図のとおりである。「満足」の構成比は、対象者全体では23.2%であり、初入者(22.3%)と再入者(23.2%)で顕著な差が見られなかった。一方、「不満」の構成比は、対象者全体では19.3%であり、再入者(22.4%)が初入者(17.6%)より高かった。

8-4-4-7図 犯罪者 社会に対する満足度(初入者・再入者別)
8-4-4-7図 犯罪者 社会に対する満足度(初入者・再入者別)
Excel形式のファイルはこちら