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令和4年版 犯罪白書 第7編/第4章/第2節/2

2 感染症予防・感染拡大防止策
(1)第1回緊急事態宣言発出前

裁判所では、裁判所の「新型インフルエンザ等対応業務継続計画」に基づき、新型コロナウイルス感染症への対策を講じており、政府の方針や地域の実情等を踏まえつつ対応を行っていた。令和2年4月の第1回緊急事態宣言発出前は、政府等の示す感染拡大防止策を参考にした感染防止の対応を行った。例えば、東京地方裁判所本庁は、同年2月までは、裁判員裁判対象事件もそれ以外の事件も平常どおりに実施していたが、同月末に同年3月2日からの学校の休校要請がされると、新型コロナウイルス感染症の実態が明らかとなっていない中で、裁判員候補者を裁判所に集めることが適切ではないとの考えの下、事件当事者の意見を聞いた上で、各裁判体の判断により、同月中に裁判員選任手続を予定していた裁判員裁判対象事件の選任手続期日及び公判期日を取り消すなどの対応を行った。

(2)第1回緊急事態宣言期間中

令和2年4月以降の第1回緊急事態宣言期間中は、多くの裁判期日を取り消すなど、裁判所として必要な機能を維持できる範囲に業務を縮小し、裁判所を利用する当事者や職員の移動等をできる限り回避するための対応を行った。

特定警戒都道府県(本編第3章第2節1項(4)参照)に所在する裁判所では、緊急事態宣言が発出されたことを踏まえ、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、裁判官の間で申合せをするなどした上で、当該状況下でも裁判所として必要な機能を維持できる範囲に業務を縮小することとした。例えば、東京地方裁判所本庁は、令状事務、心神喪失者等医療観察法による審判のうち入院命令・決定が出されている事件、被告人が勾留されている事件(追起訴が予定されている事件等を除く。)について、継続業務として業務を行うことを申し合わせた。また、裁判員裁判対象事件以外の事件のうち、被告人が勾留されている事件については、未決勾留の状態をできるだけ早く解消する必要性が高いことから、緊急事態宣言下でも原則として審理を行うこととする一方、在宅起訴や被告人が保釈中の事件については、原則として期日を変更した。裁判員裁判対象事件についても、緊急事態宣言期間中に期日が予定されているものは、事件当事者の意見を聞いた上で延期することとしたが、緊急事態宣言期間中も、広い部屋を利用して公判前整理手続を実施したり、電話を利用して公判前整理手続に代わる打合せを行うなどし、審理の再開に向けた準備を進めた。

特定警戒都道府県以外の地域に所在する裁判所では、当該地域における平日の外出自粛要請の有無や内容等を踏まえて業務縮小等の対応を講じるなどした。

(3)第1回緊急事態宣言期間終了後

第1回緊急事態宣言期間が終了した令和2年5月25日以後は、各地の実情等を踏まえ、感染防止措置を講じながら、段階的に業務を再開し、例えば、東京地方裁判所本庁は、裁判員裁判対象事件について、同年6月1日以降に選任手続が予定されていたものから再開した。

その後の同年12月、最高裁判所において、公衆衛生学等の専門的知見に基づき、「裁判所の新型コロナウイルス感染症の感染防止対策」が策定され、裁判所の業務は、3年1月の第2回緊急事態宣言発出後も継続された。