新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、それに伴う緊急事態宣言等による外出自粛要請等により、我が国における人流は、新型コロナウイルス感染症感染拡大前と比べ大きく変化した。その状況を見るため、各地における人流の推移を見るための指標として、東京駅・新宿駅を含む全国の主要5都道府県(東京都、大阪府、愛知県、福岡県及び北海道)のターミナル駅(複数の路線が乗り入れ、列車・バスなどの起点・終点となる駅)と同主要5都道府県の住宅街にある駅の滞在人口(人出)の推移を見たのが、7-2-4図である。ここで、滞在人口(人出)とは、株式会社Agoopの資料(スマートフォンのアプリから取得した位置情報を解析し、ある時点において、ある場所に滞在している人口を推計したもの。以下この編において同じ。)に基いて算出した、駅から半径500メートル以内における午後3時時点の各月の平均人口をいう(以下この編において同じ。)。
東京駅・新宿駅を含む主要5都道府県のターミナル駅の滞在人口(人出)には、ほぼ同様の傾向が見られた。すなわち、当該各駅の滞在人口(人出)は、新規陽性者数の最初のピークが見られ、かつ、第1回緊急事態宣言が発出された令和2年4月及び5月は大きく減少し、その後も新規陽性者数がピークを迎える都度、程度に差はあれ減少した(同年8月、第2回緊急事態宣言が発出された3年1月、第3回緊急事態宣言が発出された同年5月、同年8月など)。また、全国47都道府県の主要駅(各都道府県における令和元年の乗降客数が最も多かった駅。以下この編において同じ。)について、その滞在人口(人出)を分析した結果、多くの駅において、令和2年4月及び5月の滞在人口(人出)が減少するなど、同様の傾向が見られた。
これに対し、住宅街駅(住宅街付近に所在する駅。前記主要5都道府県のターミナル駅のうち、東京駅、大阪駅、名古屋駅、博多駅及び札幌駅と同一の路線にある駅の中から、半径500メートル以内における令和2年1月の午前3時の平均人口を同午後3時の平均人口で除したときに、その比率が最も高かった駅をそれぞれ選出した。)では、第1回緊急事態宣言が発出された2年4月及び5月に滞在人口(人出)が増加しており、住宅街駅の滞在人口(人出)については、当該各駅及びその周辺に所在する住宅の人口も含まれているところ、その間は、それまで通勤等で日中不在としていた人々の多くがテレワーク等により在宅していたことがうかがえた。