特殊詐欺事件(被害者の年齢が不詳の事件を除き,一つの事件に複数の被害者がいる場合は,それぞれ計上している。)について,事件当時の被害者の年齢層別構成比を見ると,8-5-3-10図のとおりである。65歳以上の高齢者の事件(292件)が86.1%であり,特に75歳以上の者の事件(191件)が56.3%を占めた。
特殊詐欺事件(被害者の居住地が不詳の事件を除き,一つの事件に複数の被害者がいる場合は,それぞれ計上している。)について,事件当時の被害者の居住地別構成比を見ると,8-5-3-11図のとおりである。関東地方の構成比が最も高く(81.5%),次いで,中部地方(5.3%),近畿地方(4.1%),中国地方(3.8%),北海道・東北地方(2.9%),九州・沖縄地方(1.8%),四国地方(0.6%)の順であった。確定記録調査は,特殊詐欺事犯者のうち,東京地方裁判所,横浜地方裁判所,さいたま地方裁判所及び千葉地方裁判所で判決の言渡しを受けた者を対象に行ったものであるが(本章第1節参照),被害者が関東地方以外の地方に居住する者である事件が約2割を占めた。
特殊詐欺事件(被害者の同居人の有無及び被害者の年齢が不詳の事件を除き,一つの事件に複数の被害者がいる場合は,それぞれ計上している。)について,被害者が最初に犯人グループと接触したときの被害者の同居人の有無別構成比を総数・被害者の年齢層別に見ると,8-5-3-12図のとおりである。総数では,被害者が単身居住であった事件の構成比は,30.8%(91件)であった。被害者に同居人がある事件について,被害者の同居相手を見ると,配偶者及びその他の親族の構成比(配偶者以外の親族のみと同居している場合も含む。)が最も高く(41.7%,123件),次いで,配偶者のみ(26.8%,79件),親族以外の者(0.7%,2件)の順であった。被害者の年齢層別に見ると,被害者が単身居住であった事件の構成比は,70歳以上が最も高く(34.3%),次いで,65~69歳(33.3%),40歳代(16.7%)の順であった。65~69歳及び70歳以上については,被害者が単身居住であった事件及び同居相手が配偶者のみの事件の合計が,それぞれ全体の66.7%,59.7%を占めた。
特殊詐欺事件(被害者への最初の連絡方法が不詳の事件を除き,一つの事件に複数の被害者がいる場合は,それぞれ計上している。)について,犯人グループから被害者への最初の連絡方法別構成比を見ると,8-5-3-13図のとおりである。固定電話の構成比(86.2%)が顕著に高く,携帯電話(7.6%)と合わせて電話によるものが9割を超えた。
特殊詐欺事件(被害者の相談の有無が不詳の事件を除き,一つの事件に複数の被害者がいる場合は,それぞれ計上している。)について,被害者が相談(被害者が,犯人グループからの連絡を受けてから金品を詐取されるまでの間に,連絡を受けた内容を誰かに話すことをいう。以下(4)において同じ。)した状況等を総数,既遂事件・未遂事件別に見ると,8-5-3-14図のとおりである。
「相談あり」の構成比は,既遂事件では15.7%,未遂事件では81.0%と,顕著な差があった。被害者が相談した事件について,相談した相手の内訳を見ると,既遂事件(37件)は,64.9%が「同居の家族・親族」に相談していたが,金品を詐取されるに至った。未遂事件(81件)は,「同居していない家族・親族」に相談した事件の構成比が29.6%であり,既遂事件(13.5%)よりも高い。また,「金融機関職員」に相談した6人は,全員が未遂事件であった。
特殊詐欺事件のうち未遂事件(一つの事件に複数の被害者がいる場合は,それぞれ計上している。)について,最初に詐欺に気付いた者別の構成比を見ると,8-5-3-15図のとおりである。
最初に詐欺に気付いた者が被害者自身である事件が過半数(52.0%)を占め,次いで,「同居の家族・親族」(14.0%),「金融機関職員」(12.0%),「同居していない家族・親族」(9.0%)の順であった。