8-3-1-40図は,詐欺の入所受刑者人員の推移(最近20年間)を見たものである。詐欺の入所受刑者人員は,平成21年(2,518人)を最多に,22年までは2,000人を上回って推移し,23年から29年までは1,800人台から1,900人台で推移していたが,同年以降は減少し続けている。令和2年は,1,559人(前年比189人(10.8%)減)であり,そのうち一部執行猶予受刑者は,5人(同2人増)であった(CD-ROM参照)。
また,詐欺の入所受刑者人員の入所受刑者総数に占める比率は,平成28年まで7%台から8%台の間で推移していたが,29年以降は10%前後で推移している。一方,女性の入所受刑者総数に占める比率は,23年以降5%台から6%台の間で推移している。
8-3-1-41図は,詐欺の入所受刑者の年齢層別構成比の推移(最近20年間)を,入所受刑者総数と共に見たものである。詐欺の30歳未満の者の構成比は,平成13年から16年までは10.7%から11.7%の間で推移していたが,17年に16.1%に上昇し,その後,25年以降は20%を,30年以降は30%をそれぞれ上回って推移している。27年以降は毎年上昇し続け,令和2年は31.2%(前年比0.6pt上昇)であった。2年の詐欺の30歳未満の入所受刑者の人員(487人)を見ると,25歳未満の者が約半数(256人)を占めている(CD-ROM参照)。50~64歳の者の構成比は,平成13年(38.3%)を最高に,低下傾向を示し,29年には18.5%に低下したが,30年以降は20%前後で推移している。それ以外の者の構成比は,多少の上昇・低下はあるものの,13年の構成比と令和2年の構成比を比較しても,大きな差は認められない。
詐欺の入所受刑者と入所受刑者総数を比較すると,詐欺では,前記のとおり,30歳未満の者の構成比が上昇傾向を示していたのに対し,入所受刑者総数では,平成13年には,30歳未満の者の構成比が24.4%であったのが,その後,低下傾向を示し,令和2年には15.2%となっている。また,65歳以上の高齢者の構成比を見ると,入所受刑者総数では,平成13年(3.6%)から上昇傾向を示し,令和2年は12.9%となっているのに対し,詐欺では,平成24年(10.3%)を最高に,おおむね横ばいで推移している。
8-3-1-42図は,詐欺の入所受刑者人員の推移(最近20年間)を男女別に見るとともに,これを入所度数別に見たものである。男性・女性共に,入所受刑者全体のうち初入者が占める割合が一貫して最も高く,特に,女性は,平成24年以降,初入者が7割以上を占めている。男性は,初入者の人員が,19年以降800人台後半から1,100人台後半の間で推移している一方,3度以上の者の人員は22年以降減少し続けている。なお,令和2年における詐欺の男性入所受刑者のうち,3度以上の者の人員(315人)の入所度数の内訳を見ると,その約6割を5度以上の者(181人(うち10度以上の者が58人))が占めている(矯正統計年報による。)。
8-3-1-43図は,令和2年の詐欺の入所受刑者の居住状況別構成比を見たものである。
8-3-1-44図は,令和2年の詐欺の入所受刑者の就労状況別構成比を見たものである。
令和2年の詐欺の入所受刑者の婚姻状況別構成比(婚姻状況が不詳の者を除く。)を見ると,配偶者(内縁関係にあるものを含む。以下この項において同じ。)がある者の構成比が17.7%,未婚の者の構成比が48.8%,離死別の者の構成比が33.5%となっており,未婚の者の構成比が入所受刑者総数(41.4%)と比べて高く,離死別の者の構成比が入所受刑者総数(39.5%)と比べて低い(矯正統計年報による。)。
令和2年の詐欺の入所受刑者の教育程度別構成比(教育程度が不詳の者を除く。)を見ると,大学在学・中退・卒業が15.4%,高校卒業が36.4%となっており,入所受刑者総数の大学在学・中退・卒業が10.5%,高校卒業が30.2%であるのと比べると,高校卒業以上の学歴を有する者の構成比が高い(矯正統計年報による。)。
令和2年の詐欺の入所受刑者(1,559人)のうち,39人(2.5%)が来日外国人(国籍別の内訳は,中国31人,ブラジル及びナイジェリア各2人,その他4人)であり,49人(3.1%)が暴力団関係者(幹部17人,組員26人,地位不明6人)であった(矯正統計年報による。)。
8-3-1-45図は,令和2年の詐欺の出所受刑者の帰住先別構成比を,出所受刑者総数と共に出所事由別に見たものである。満期釈放等により釈放された者については,帰住先が「その他」の者の構成比が最も高く,次いで,父・母,知人の順になっているのに対し,仮釈放により釈放された者については,父・母の者の構成比が最も高く,次いで,更生保護施設等,配偶者の順となっている。
詐欺の少年鑑別所被収容者(観護措置(少年鑑別所送致)又は勾留に代わる観護措置により入所した者で,かつ,当該年において逃走,施設間の移送又は死亡以外の事由により退所した者をいう。以下アにおいて同じ。)の人員の推移(最近20年間)を男女別に見ると,8-3-1-46図のとおりである。総数は,平成13年以降,増減を繰り返しながらも全体的に増加傾向にあり,30年(812人)をピークに,その後は2年連続で減少したものの,令和2年は,333人と,平成13年(100人)の約3.3倍となっている。女子比は,14年以降は10%台,23年以降は10%を下回って推移していたが,令和2年は,再び10%を上回る16.5%であり,少年鑑別所被収容者総数に占める女子比(9.7%。3-2-3-2図CD-ROM参照)よりも高い(CD-ROM参照)。
詐欺について,令和2年に収容審判鑑別(第3編第2章第3節3項(1)ア参照)を終了した者の審判における決定等別構成比を見ると,8-3-1-47図のとおりである。少年院送致が40.8%(115人)と最も高く,次いで,保護観察36.2%(102人),決定未了(観護措置の取消し及び試験観察)19.1%(54人)の順であり,同年に収容審判鑑別を終了した者の総数(3-2-3-6表参照)と比較して,少年院送致と決定未了の構成比が高い(CD-ROM参照)。
8-3-1-48図は,詐欺の少年院入院者の人員及び少年院入院者総数に占める比率(「詐欺率」という。以下(3)において同じ。)の推移(最近20年間)を年齢層別に見たものである。
少年院入院者の人員は,平成16年に大きく増加した後も,100人未満で推移していたが,24年に100人を上回ってからは,27年まで増加し続け,翌年から一旦減少したものの,30年には336人に達し,その後は2年連続して減少した。少年院入院者総数が減少傾向にある中(3-2-4-1図参照),詐欺の少年院入院者が増加したことから,詐欺率は,13年には0.4%であったが,30年には15.9%に達し,その後は2年連続して低下した。
年齢層別に見ると,平成13年以降,一貫して年長少年(入院時に20歳に達している者を含む。以下(3)において同じ。)が最も多く,次いで,中間少年,年少少年(入院時に14歳未満の者を含む。)の順であり,年長少年が占める構成比はおおむね60%台から70%台の間で推移していたが,令和2年は58.7%であった(CD-ROM参照)。
男女別に見ると,女子は,年による変動が大きく,平成13年から24年までは10人未満で推移していたが,25年以降は30年の23人を最多に,10人を上回る年もあり,令和2年は11人(前年比5人増)であった(CD-ROM参照)。
8-3-1-49図及び8-3-1-50図は,平成28年から令和2年までにおける詐欺の少年院入院者の教育程度別構成比及び就学・就労状況別構成比を,いずれも男女別に見たものである。
教育程度は,令和2年の少年院入院者総数(3-2-4-4図参照)と比較して,男子は,高校中退の者及び高校卒業・その他(大学(短期大学を含む。)在学・中退,専修学校在学・中退・卒業等)の者,女子は,中学卒業及び高校中退の者の構成比がそれぞれ高い。
就学・就労状況は,令和2年の少年院入院者総数(3-2-4-5図参照)と比較して,男子は無職の者の構成比が高い一方,女子は有職の者の構成比が高い。
平成28年から令和2年までにおける詐欺の少年院入院者の保護者状況(非行時による。)別構成比を見ると,男子は,実父母が33.5%,実母が39.1%,実父が9.5%,女子は,実父母が30.0%,実母が41.7%,実父が13.3%であり,同年の少年院入院者総数(3-2-4-7図参照)と比較して,男子は実父母の構成比が高い一方,女子は実父母の構成比が低かった(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
詐欺の少年院入院者の共犯者数別構成比の推移(最近20年間)を見ると,8-3-1-51図のとおりである。
共犯者数が不特定多数である者は,平成13年から15年までいなかったが,23年以降その構成比が上昇傾向にあり,令和元年には71.4%に達したものの,2年は55.4%であった。
平成28年から令和2年までにおける詐欺の少年院入院者の不良集団関係別構成比を男女別に見ると,8-3-1-52図のとおりである。同年の少年院入院者総数(3-2-4-6図参照)と比較して,男女共に不良集団関係のない者の構成比が高い一方,男子は暴力団の構成比が高い。
8-3-1-53図は,平成28年から令和2年までにおける詐欺の少年院入院者の被虐待経験別構成比を男女別に見たものである。男女共に,同年の少年院入院者総数(3-2-4-8図参照)と比較して虐待なしの構成比が10pt以上高い。