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令和3年版 犯罪白書 第8編/第3章/第1節/5

5 更生保護
(1)仮釈放

8-3-1-54図は,詐欺について,出所受刑者(仮釈放者,一部執行猶予の実刑部分刑期終了又は満期釈放により刑事施設を出所した者に限る。)の人員及び仮釈放率の推移(最近20年間)を見たものである。出所受刑者の人員は,増加傾向にあったが,平成22年(2,452人)をピークに翌年から減少傾向を示したのを経て,28年以降は1,900人前後で推移し,令和2年は1,855人(前年比3.4%減)であった。

仮釈放率は,仮釈放者の人員が横ばいで推移した一方,満期釈放者等(満期釈放等により刑事施設を出所した者をいう。)の人員が減少傾向にあったことから,平成22年から上昇傾向にあり,令和2年は,71.7%(前年比3.5pt上昇)と,出所受刑者総数の仮釈放率(59.2%。2-5-2-1図参照)と比べて12.5pt高かった。

8-3-1-54図 詐欺 出所受刑者人員・仮釈放率の推移
8-3-1-54図 詐欺 出所受刑者人員・仮釈放率の推移
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(2)保護観察
ア 保護観察開始人員の推移

8-3-1-55図は,詐欺について,仮釈放者,保護観察付全部・一部執行猶予者,保護観察処分少年(交通短期保護観察の対象者を除く。以下この項において同じ。)及び少年院仮退院者の保護観察開始人員並びに全部執行猶予者の保護観察率の推移(最近20年間)を見たものである。

保護観察開始人員について見ると,仮釈放者は,増減を繰り返していたが,平成22年以降おおむね1,200人前後で推移しており,令和2年は1,295人(前年比2.2%増)であった。保護観察付全部・一部執行猶予者は,おおむね減少傾向にあり,2年は107人(同12.3%減)であった。全部執行猶予者の保護観察率は,平成14年(15.0%)をピークとして低下傾向にあり,令和2年は5.4%(同0.8pt低下)と,保護観察開始人員総数の全部執行猶予者の保護観察率(7.0%。CD-ROM資料2-8参照)と比べて1.6pt低かった。

一方,保護観察処分少年は,平成18年(213人)及び20年(215人)をピークに,その後増減を繰り返していたが,29年(264人)及び30年(339人)に大きく増加した後は,翌年から減少し,令和2年は210人(前年比26.1%減)であった。少年院仮退院者は,平成24年から28年(226人)まで増加した後,29年及び30年に180人台に減少したのを経て,令和元年に一旦増加したが,2年は153人(同41.8%減)であった。

8-3-1-55図 詐欺 保護観察開始人員・全部執行猶予者の保護観察率の推移
8-3-1-55図 詐欺 保護観察開始人員・全部執行猶予者の保護観察率の推移
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イ 男女別

8-3-1-56図は,詐欺の仮釈放者,保護観察付全部・一部執行猶予者,保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,平成28年から令和2年までにおける保護観察開始人員の男女別構成比を見たものである。

8-3-1-56図 詐欺 保護観察開始人員の男女別構成比
8-3-1-56図 詐欺 保護観察開始人員の男女別構成比
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ウ 年齢

8-3-1-57図は,詐欺の仮釈放者,保護観察付全部・一部執行猶予者,保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,平成28年から令和2年までにおける保護観察開始人員の年齢層別構成比を男女別に見たものである。

仮釈放者及び保護観察付全部・一部執行猶予者を見ると,いずれの保護観察においても,男性は,女性と比べて20歳代の者の構成比が高く,65歳以上の高齢者の構成比が低い。また,女性の仮釈放者は,他の保護観察と比べて50歳以上の者の構成比が顕著に高い。令和2年の保護観察開始人員総数(2-5-3-2図参照)と比べると,詐欺の方が20歳代の者の構成比が高い(CD-ROM参照)。

一方,保護観察処分少年及び少年院仮退院者を見ると,いずれの保護観察においても,男子は,女子と比べて18・19歳及び20歳以上の者の構成比が高い。また,令和2年の保護観察開始人員総数(3-2-5-2図参照)と比べると,詐欺の方が16歳未満の者の構成比が低く,18・19歳及び20歳以上の者の構成比が高い(CD-ROM参照)。

8-3-1-57図 詐欺 保護観察開始人員の年齢層別構成比(男女別)
8-3-1-57図 詐欺 保護観察開始人員の年齢層別構成比(男女別)
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エ 居住状況

8-3-1-58図は,詐欺の仮釈放者,保護観察付全部・一部執行猶予者,保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,平成28年から令和2年までにおける保護観察開始人員の居住状況別構成比を年齢層別に見たものである(満期釈放等の居住状況別構成比については,8-3-1-45図参照)。

仮釈放者及び保護観察付全部・一部執行猶予者を見ると,いずれの保護観察においても,親族と同居する者の構成比は,年齢層が上がるに従って低くなっているが,65歳以上の仮釈放者と50~64歳の仮釈放者は,ほぼ同水準である。また,保護観察開始人員総数と比べると,詐欺の仮釈放者は,30歳未満の者は親族と同居する者の構成比が高く,50~64歳の者及び65歳以上の者は配偶者と同居する者及び更生保護施設に居住する者の構成比が高い。詐欺の保護観察付全部・一部執行猶予者は,全ての年齢層において,保護観察開始人員総数よりも親族と同居する者の構成比が低く,30歳未満の者以外の年齢層において,更生保護施設に居住する者の構成比が高い(CD-ROM参照)。

詐欺の保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,保護観察開始人員総数と比べると,全ての年齢層において,両親と同居する者の構成比がやや高い(CD-ROM参照)。

8-3-1-58図 詐欺 保護観察開始人員の居住状況別構成比(年齢層別)
8-3-1-58図 詐欺 保護観察開始人員の居住状況別構成比(年齢層別)
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オ 保護観察終了人員の状況等

8-3-1-59図は,詐欺の仮釈放者,保護観察付全部執行猶予者,保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,平成28年から令和2年までにおける保護観察終了人員の終了事由別構成比を見たものである。同年の保護観察終了人員総数(2-5-3-8図及び3-2-5-7図参照)と比べると,少年院仮退院者では,保護処分の取消しで終了した者の構成比が低く,期間満了で終了した者の構成比が高いが,その他の保護観察では保護観察終了人員総数とほぼ同様の傾向を示している。なお,保護観察付全部執行猶予者では,仮釈放者と比べて取消しで終了した者の構成比が高いが,これは両者における保護観察期間の長短の影響が考えられる。

なお,平成28年から令和2年までに保護観察を終了した詐欺の保護観察付一部執行猶予者は,いなかった。

8-3-1-59図 詐欺 保護観察終了人員の終了事由別構成比
8-3-1-59図 詐欺 保護観察終了人員の終了事由別構成比
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8-3-1-60図<1>は,詐欺の仮釈放者,保護観察付全部執行猶予者,保護観察処分少年及び少年院仮退院者について,平成28年から令和2年までにおける保護観察終了人員の終了事由別構成比を終了時の就学・就労状況別に見たものである。いずれの保護観察においても,取消しで終了した者の構成比は,保護観察終了時に無職であった者の方が,有職であった者と比べて顕著に高い。また,同年の保護観察終了人員総数(仮釈放者及び保護観察付全部執行猶予者は8-3-1-60図<2>,保護観察処分少年及び少年院仮退院者は3-2-5-7図をそれぞれ参照)と比べると,少年院仮退院者を除き,保護観察終了時に無職であった者の中で,取消しで終了した者の構成比が高い。

8-3-1-60図 詐欺 保護観察終了人員の終了事由別構成比(終了時の就学・就労状況別)
8-3-1-60図 詐欺 保護観察終了人員の終了事由別構成比(終了時の就学・就労状況別)
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