犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律(平成18年法律第87号)は,犯罪被害者の保護を一層充実させるため,詐欺を含む財産犯等の犯罪行為によりその被害を受けた財産(犯罪被害財産)の没収又はその価額の追徴により得た財産等を用いて,当該犯罪行為により財産的被害を受けた者等に対する被害回復給付金の支給を行うために必要な事項を定めるものであり,平成18年6月に制定された(同年12月全面施行)。また,これに合わせて,平成18年法律第86号により組織的犯罪処罰法も改正された(同月施行)。これにより,被害者による損害賠償請求権等の行使が困難な場合,例えば,詐欺を含む財産犯が組織的に行われた場合や当該犯罪被害財産が隠匿された場合等に,組織的犯罪処罰法により当該犯罪被害財産の没収・追徴が可能となり,当該財産等を被害回復給付金の支給に充てることができることとなった。同支給手続においては,没収した犯罪被害財産に相当する金銭の保管を始めとする支給手続の主体が検察官とされ,犯罪被害財産の没収・追徴の理由とされた犯罪行為の被害者のほか,これと一連の犯行として行われるなどした犯罪行為の被害者についても,被害回復給付金の支給の申請をすることができる。令和2年における被害回復給付金支給開始手続の開始決定件数等については第6編第2章第2節3項を,詐欺に係る被害回復給付金の支給状況の推移については8-3-3-8表<1>をそれぞれ参照。