警察等が検挙した事件は,微罪処分(刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)246条ただし書に基づき,検察官があらかじめ指定した犯情の特に軽微な成人による事件について,司法警察員が,検察官に送致しない手続を執ることをいう。)の対象となったものや交通反則通告制度に基づく反則金の納付があった道路交通法違反を除き,全て検察官に送致される。なお,令和2年に微罪処分により処理された人員は,5万2,039人(刑法犯では,微罪処分により処理された人員は5万2,035人であり,全検挙人員に占める比率は28.5%)であった(警察庁の統計による。)。
検察官は,警察官(一般司法警察員)及び海上保安官,麻薬取締官等の特別司法警察員からの送致事件について捜査を行うほか,必要に応じて自ら事件を認知し,又は告訴・告発を受けて捜査を行い,犯罪の成否,処罰の要否等を考慮して,起訴・不起訴を決める。
平成28年5月に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年法律第54号)により,刑事手続を時代に即したより機能的なものとするため,刑事手続における証拠の収集方法の適正化及び多様化等が図られ,これにより,検察官が行う捜査に関連するものとして,<1>取調べの録音・録画制度の導入,<2>証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度(以下この節において「合意制度」という。)の導入,<3>犯罪捜査のための通信傍受(以下この節において「通信傍受」という。)の対象犯罪の拡大,<4>通信傍受の手続の合理化・効率化等がなされた(<3>については,同年12月施行,<2>については,30年6月施行,<1>及び<4>については,令和元年6月それぞれ施行。合意制度については,第8編第2章第3節2項,通信傍受については,同節1項をそれぞれ参照。)。詐欺に係る通信傍受実施事件数及び傍受令状発付件数については,8-3-1-29表参照。
なお,検察庁における取調べの録音・録画は前記改正法施行以前から実施されており,令和元年度の検察庁における被疑者取調べの録音・録画実施件数(前記改正法により録音・録画義務の対象とされた事件以外の事件において実施したものを含む。)は,10万3,380件であり,平成27年度(5万9,411件)の約1.7倍の水準であった(最高検察庁の資料による。)。