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令和3年版 犯罪白書 第8編/第2章/第3節/1

第3節 詐欺の捜査に関係する法律
1 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律

詐欺の捜査に関係する法律として,刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)等に加え,犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成11年法律第137号。以下この項において「通信傍受法」という。)がある。同法は,組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害していることに鑑み,通信の秘密を不当に侵害することなく事案の真相の的確な解明に資するよう,平成11年8月に制定された(12年8月施行)。同法により,検察官又は司法警察員は,対象犯罪が行われたと疑うに足りる十分な理由がある場合であって,当該犯罪が数人の共謀によるものであると疑うに足りる状況があるときなどにおいて,犯罪の実行,準備又は証拠隠滅等の事後措置に関する謀議,指示等を内容とする通信が行われると疑うに足りる状況があり,かつ,他の方法によっては,犯人を特定し,又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であるときに,裁判官が発付する傍受令状に基づき,現に行われている他人間の通信について,その内容を知るため,当該通信の当事者のいずれの同意も得ないでこれを傍受することができることとされている。

平成28年法律第54号による改正により,犯罪捜査のための通信傍受の対象となる犯罪に詐欺,電子計算機使用詐欺等が加えられ,これらの犯罪についても,あらかじめ定められた役割分担に従って行動する人の結合体により行われるなどの場合においては,通信傍受を有用な捜査手法の一つとして活用できることとなった(平成28年12月施行)。また,同改正により,通信事業者等の施設においてその職員の立会いの下,通信が行われるのと同時に傍受する従来の手続に加え,通信事業者等が通信を暗号化し,一時的に保存をする方法により傍受する手続や,通信事業者等が暗号化した通信を,捜査機関の施設等に設置された,通信傍受法に定められた要件を満たす電子計算機に伝送させ,通信事業者等による立会いを要さず,受信するのと同時に復号し,又は一時的保存をする方法により傍受する手続が新たに導入されるなど,通信傍受手続の合理化・効率化がなされた(令和元年6月施行)。詐欺に係る通信傍受実施事件数及び傍受令状発付件数の推移については,8-3-1-29表参照。