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令和2年版 犯罪白書 第7編/第8章/第4節/4

4 刑事処分の早い段階での対応の必要性

大麻取締法及び麻薬取締法の各違反で検挙された者のうち相当の割合の者は,起訴猶予処分を受け,起訴された者についても大半は全部執行猶予付判決を受ける。起訴率が高い覚醒剤取締法違反についても,起訴された者の約4割は全部執行猶予付判決を受ける。各罪の全部執行猶予者の保護観察率は,最も高い同法違反でも10%前後にとどまる。前記のとおり,特別調査では,初入者においても,薬物依存重症度が集中治療の対象の目安とされる「相当程度」以上の者が4割近くを占め,再入者との間に大きな差がないことからすると,薬物犯罪で検挙された者のうち起訴猶予処分を受けた者及び単純執行猶予付判決を受けた者の中にも,薬物依存の重症度が高い者が相当の割合で含まれていることが推測される。このような者の再犯防止のためには,覚醒剤等の使用者の個別事情,すなわち,薬物乱用歴・頻度,他に抱える問題の有無・内容,居住・就労状況,更生の意欲等に鑑み,検察官が求刑において保護観察に付するように積極的に求めるなどして,保護観察を受けさせること,地域の医療・福祉機関,支援機関等による治療・支援を受けられるよう,対象者への情報提供や動機付けを行うことなど,適切な指導・支援につなげるための働き掛けを充実させることが重要であると思われる。その点では,コラム1で紹介した福岡県と福岡地方検察庁の連携による社会復帰支援の取組が参考になると思われる。