少年院における薬物非行問題に係る指導については,平成23年度に「矯正教育プログラム(薬物非行)」が開発され,24年度から重点指導施設として4庁の少年院において,集中的かつ重点的な指導が実施されていた。その後,27年6月の少年院法の施行により,矯正教育のうち,特定生活指導(薬物非行防止指導)として全国の少年院で実施されることとなった(第3編第2章第4節3項(2)参照)。麻薬,覚醒剤その他の薬物に対する依存等がある者を対象に,薬物の害と依存性を認識するとともに,薬物依存に至った自己の問題性を理解し,再び薬物を乱用しないことを目的として,受講者全員に対して,ワークブックを用いたグループワーク又は個別指導を統一的に行う中核プログラム,受講者の個々の必要性に応じて,問題行動(薬物使用),背景要因又は生活設計に主として焦点を当てて,個別面接指導や固定メンバーによる継続的な集会等を選択的に行う周辺プログラム及び中核プログラム終了後にワークブックを用いた個別指導を行うフォローアップ指導を組み合わせて実施されている。令和元年における受講終了人員は,232人であった(法務省矯正局の資料による。)。また,2年4月1日現在,重点指導施設として11庁が指定されており,これらの施設においては,麻薬,覚醒剤その他の薬物に対する依存等がある者を他の少年院からも受け入れて,重点的かつ集中的な指導が実施されている。グループワーク,個別面接指導等の方法による少年指導用プログラムと個別面談や保護者講習会において行われる保護者向けプログラムから構成され,期間は3か月から4か月を標準とし,少年院の職員が外部協力者(薬物依存からの回復を目指す民間自助団体,医療関係者,薬物問題に関する専門家等)の協力を得て実施する。薬物非行防止指導の重点指導施設の所在地については,7-5-2-3図のとおりである。