あへん法は,医療及び学術研究の用に供するあへんの供給の適正を図るため,国があへんの輸出入,収納及び売渡しを行い,あわせて,けしの栽培及びあへん・けしがらの譲渡し,譲受け,所持等について必要な取締りを行うことを目的とする法律である。
あへんは,昭和23年制定の旧麻薬取締法により規制され,けしの栽培等が禁止されるとともに,輸入も厳重に制限された。しかし,その結果,医療用の麻薬の製造に支障を来すようになったことや「けしの栽培並びにあへんの生産,国際取引,卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書」(28年6月署名。昭和38年条約第10号)の批准に備えるために,あへんの輸入,輸出,買取及び売渡等の権能を国に専属させるための国内法整備が必要となったことなどからあへんの規制を麻薬一般の規制から分離することとされ,29年,あへん法が制定された(昭和29年法律第71号。昭和29年5月施行)。
あへん法の重要な改正としては,平成3年法律第93号による改正により,営利の目的による違反行為等を中心とする罰金刑の上限の引上げ,資金等提供罪の範囲の拡大,あへん・けしがらの運搬の用に供した車両等への没収範囲拡大,国外犯処罰規定の新設等が行われたこと(平成4年7月施行)などがある。