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令和2年版 犯罪白書 第7編/第2章/第3節/2

2 解離性麻酔薬

解離性麻酔薬は,NMDA受容体に影響を与え,麻酔及び幻覚作用を有している。フェンシクリジンは副作用の大きさから医療用としては用いられなくなったが,ケタミンは他の麻酔薬の有する呼吸抑制作用がないことなどから,麻酔薬等として用いられている。解離性麻酔薬の摂取により,身体・精神から自身が切り離されたような離人感や手足が遠く感じられるなどの身体図式の変容がみられるほか,攻撃性,幻覚,妄想,失見当識,協調運動障害,構音障害,聴覚過敏,眼振,筋肉の硬直,てんかん発作,頻脈,高血圧等を引き起こす。精神的依存性が強いほか,使用を繰り返すことにより耐性が形成される。また,離脱後も幻覚薬持続性知覚障害(フラッシュバック)が起こることがある。