窃盗及び強制性交等・強制わいせつを除く刑法犯について,主な罪名・罪種ごとに認知件数の推移(最近30年間)を見ると,1-1-2-7図のとおりである。
認知件数,検挙件数及び検挙率の推移(最近20年間)を罪名別に見ると,1-1-2-8図のとおりである(詳細については,CD-ROM資料1-2及び1-3参照)。
なお,盗品譲受け等,公然わいせつ,わいせつ物頒布等,略取誘拐・人身売買,通貨偽造,文書偽造等及び賭博・富くじの認知件数等についてはCD-ROM参照。
殺人の認知件数は,平成16年から28年までは減少傾向にあり,同年に戦後最少の895件を記録した。その後はおおむね横ばいで推移しており,令和元年は950件(前年比35件(3.8%)増)であった。検挙率は,安定して高い水準(元年は99.5%)にある。
強盗の認知件数は,平成15年に昭和26年以降で最多の7,664件を記録した後,平成16年から減少傾向にあり,令和元年は1,511件(前年比276件(15.4%)減)と戦後最少を記録した。検挙率は,平成17年から上昇傾向にあり,令和元年は87.8%(同0.5pt上昇)であった。
令和元年における強盗の認知件数の手口別構成比は,1-1-2-9図のとおりである。
傷害の認知件数は,平成15年に3万6,568件を記録した後,16年から減少傾向にあり,令和元年は2万1,188件(前年比1,335件(5.9%)減)であった。暴行の認知件数は,平成18年以降おおむね高止まりの状況にあり,令和元年は3万276件(同1,086件(3.5%)減)であった。脅迫の認知件数は,平成12年以降2,000件台で推移していたが,24年に大きく増加し,同年以降は3,000件台で推移しており,令和元年は3,657件(同159件(4.5%)増)であった。いずれの検挙率も,平成16年前後からおおむね上昇傾向にある。
詐欺の認知件数は,平成17年に昭和35年以降で最多の8万5,596件を記録した。その後,平成18年から減少に転じ,24年からは増加傾向を示していたが,30年から再び減少し,令和元年は3万2,207件(前年比6,306件(16.4%)減)であった。検挙率は,平成16年に32.1%と戦後最低を記録した後,17年から上昇に転じ,23年から26年までの低下を経て,その後は上昇傾向にあり,令和元年は49.4%(同6.6pt上昇)であった。
特殊詐欺(被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ,指定した預貯金口座へ振り込ませるなどの方法により,不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(恐喝及び窃盗を含む。)の総称)の認知件数,検挙件数及び被害総額(詐取又は窃取されたキャッシュカードを使用して,ATMから引き出されて窃取された額(以下「ATM引出し額」という。)を含まない。)の推移(統計の存在する平成16年以降)は,1-1-2-10図のとおりである。令和元年は,主要手口による特殊詐欺(詐欺・恐喝)の認知件数が前年と比較して3,333件(20.4%)減少した一方,キャッシュカード詐欺盗(警察官等を装って被害者に電話をかけ,「キャッシュカードが不正に利用されている」等の名目により,キャッシュカードを準備させた上で,隙を見るなどし,同キャッシュカード等を窃取するもの)の認知件数は前年と比較して2,429件(180.2%)増加した。元年の特殊詐欺全体としての被害総額は,約196億円(前年比32.9%減)であった(なお,ATM引出し額を含めると約316億円(警察庁刑事局の資料による。))。
恐喝の認知件数は,平成13年に1万9,566件を記録した後,14年から減少し続けており,令和元年は1,629件(前年比124件(7.1%)減)であった。
横領(遺失物等横領を含む。)の認知件数は,平成16年に戦後最多の10万4,412件を記録した後,17年から減少し続けており,令和元年は1万7,254件(前年比2,717件(13.6%)減)であった。
放火の認知件数は,平成16年に2,174件を記録した後,17年から減少傾向にあり,令和元年は840件(前年比51件(5.7%)減)であった。
公務執行妨害の認知件数は,平成18年に戦後最多の3,576件を記録した後,19年から減少傾向にあり,令和元年は2,303件(前年比72件(3.0%)減)であった。
住居侵入の認知件数は,平成15年に戦後最多の4万348件を記録した後,16年から減少傾向にあり,令和元年は1万2,853件(前年比195件(1.5%)減)であった。
器物損壊の認知件数は,平成15年に23万743件を記録した後,16年から減少し続けており,令和元年は7万1,695件(前年比6,676件(8.5%)減)であった。検挙率は,平成15年まで低下した後,16年から上昇傾向にあり,令和元年は12.0%(同0.3pt上昇)であったが,依然,刑法犯全体と比べて著しく低い。